本講義は,光通信や光センシングなど,光を用いた多様な光応用システムに用いられる,LEDやレーザなどの光源を中心とした光デバイスを扱う.
本講義のねらいは,半導体発光デバイスおよび関連する光変調器などの光機能デバイスの,原理・特性・特徴を学ぶことである.発光デバイスを中心に,発光デバイスの種類,発光の原理,発光デバイスにおける光伝搬,レーザの発振条件,光出力・温度特性・効率などの静特性,材料や製作法などの光デバイス構成法,光デバイスの動特性など,詳細な知識を学ぶとともに,主要な応用デバイス・システムの先端動向を学ぶ.本講義において,学士課程における半導体の光・電磁物性や光デバイス,光エレクトロニクスといった講義で扱われる発光デバイスをより深く,より詳細に理解する.
本講義を履修することによって次の能力を修得する.
1)光デバイスの動作原理を説明できる.
2)光デバイスの静的・動的特性を説明できる.
3)光デバイスの基本的設計ができる.
4)光デバイスの材料の特徴と製作法を説明できる.
5)先端的な光デバイスの特徴と応用を説明できる.
フォトニクス,光エレクトロニクス,光デバイス,発光デバイス,半導体レーザ,LED
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
授業の前に,課題欄の項目について予習しておくことが必要です.
復習を兼ねて,演習問題に取り組んでもらいます.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 光エレクトロニクスとは | 光の波長,周波数,エネルギーの確認.フォトニクス(光エレクトロニクス)の応用事例の調査. |
第2回 | 発光デバイスの種類 | 発光デバイスの種類とその動作の特徴,利用範囲の相違の調査. |
第3回 | 発光の原理 | 双極子による電磁波放射と結晶中の電子状態の基礎の理解. |
第4回 | 発光デバイスにおける光導波 | 光導波路の基本的原理と解析法の理解. |
第5回 | 発光デバイスと光出射・集光・結合 | ホイヘンスの原理,ガウス関数の理解. |
第6回 | 半導体発光デバイスの基礎特性 | 半導体レーザの素子サイズ,しきい値電流と光出力,LEDの素子サイズ,動作電流と光出力の事例調査. |
第7回 | 半導体発光デバイスの温度特性と効率 | 光デバイスの利用可能温度範囲とその制限理由の調査. |
第8回 | 第7回までの内容の演習形式による確認 | 第1回から第7回までの理解度確認と到達度自己評価. |
第9回 | 発光デバイス用半導体材料とその物性 | 半導体の種類と光デバイスで用いられている半導体の調査. |
第10回 | 量子構造の光デバイス応用 | 量子井戸の解析法と半導体の状態密度の解析法の確認. |
第11回 | 発光デバイスの動特性 | キャリア再結合の原理とキャリア寿命の確認. |
第12回 | 単一モードレーザとレーザの雑音 | 光利得と共振器損失の波長依存性の発生原理の調査. |
第13回 | 面発光レーザと微小レーザ | レーザのデバイスサイズ微小化が特性に与える影響の調査.反射鏡と反射率の調査. |
第14回 | 光機能デバイス | 発光以外に要求される動的機能の調査. |
第15回 | 光デバイスの先端応用システム | 新規な光応用と必要な光デバイスの特徴の調査. |
指定なし
教員の作成した資料を基に講義を行う.
講義資料は事前にOCW-iにアップロードする.
参考書:末松安晴,伊賀健一共著『光ファイバ通信入門』オーム社,ISBN:4-274-20198-8,2006年.
光デバイスの原理・特性・特徴の理解度を評価する.
配点は,講義前半内容に関する演習形式による理解度評価および期末試験(80%),毎回の演習(20%).
学士課程の量子力学(EEE D201),半導体物性(EEE D211),電磁気学関連(EEE E201,EEE E202,EEE E211)の講義に相当する知識を身につけていること.
学士課程の半導体の光・電磁物性(EEE D331),光デバイス(EEE D361),光エレクトロニクス(EEE S361)の講義に相当する知識を身につけていることが望ましい.
宮本智之,miyamoto.t.ac[at]m.titech.ac.jp, 045-924-5059
メールで事前予約すること.