2022年度 導波回路論   Guided Wave Circuit Theory

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
電気電子コース
担当教員名
西方 敦博  青柳 貴洋 
授業形態
講義    (対面型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
水3-4(H105)  
クラス
-
科目コード
EEE.S411
単位数
1
開講年度
2022年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2022年9月7日
講義資料更新日
-
使用言語
英語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

この講義は,電磁界の伝搬制御に関する講義であり,電気電子コースの関連科目とともに,電磁波応用を理解するために必要となる。マイクロ波,ミリ波,光波は,通信,センシング,医療など,様々な分野で応用されている.これら電磁波の応用においては,目的に応じて電磁界の伝搬を適切に制御し,所望の機能を実現している.電磁界の伝搬制御においては,閉じられた伝送空間,すなわち導波路中において制御することが有効である.
講義では,ミリ波・マイクロ波集積回路や光集積回路用の導波路及び光ファイバにおける電磁界の導波現象に関して,伝搬特性,モード結合現象,周期構造における電磁界の振舞などを説明する.その後,結合器,分岐器,周波数選択及び弁別を目的とした合波・分波器,伝達特性が伝搬方向によって異なる非相反素子など,基本的な電磁波回路,光波回路の動作原理及び解析法について講義する.

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)導波路を伝搬する電磁界の分布を理解し,導波路中の電磁波伝搬特性を説明できる
2)導波路を伝搬する電磁界を制御するために必要な考え方として,インピーダンス制御,位相制御,モード結合などを説明できる
3)導波路を伝搬する電磁界の制御を目的とした代表的な導波回路の動作原理を説明することができる
4)電磁界の制御を目的とした代表的な導波回路の解析法を理解する

キーワード

マイクロ波,ミリ波,光波,同軸線路,マイクロストリップ線路,導波管,誘電体導波路,伝搬モード,インピーダンス,定在波,散乱行列,固有励振,固有値,光ファイバ中の非線形効果,モード結合,結合器,分岐器,方向性結合器,合分波器,非相反素子

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

T2Scholaiにアップロードした講義資料をあらかじめ予習し,講義に臨むこと。また,演習問題を解いてみること。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 イントロダクション - 電波の周波数帯、応用、分布定数回路の必要性 伝送線路 - 平衡、不平衡、2導体、TEM、導波管、光ファイバ 電磁界解析 - TEMモード、波動インピーダンス、特性インピーダンス、波数、分布定数、伝送線路の等価回路、電信方程式 伝送線路の例と計算 2導体系伝送線路のTEMモードについて波数と特性インピーダンスを導出し説明できる。 分布定数等価回路と電信方程式の関係を説明できる。
第2回 導波管 - マイクロ波用途、低損失、大電力、TEおよびTMモード 導波管モードの解析 - ヘルツポテンシャル、遮断周波数、界分布、方形導波管、円形導波管、位相速度、群速度、管内波長 光ファイバ - ステップインデックスファイバ、マルチモードファイバ、単一モードファイバ、BL積、ニューメリカルアパチャ、規格化周波数、単一モード条件 TEモードとTMモードの違い、それらとTEMモードとの違いを説明できる。 光ファイバの単一モード条件について説明できる。
第3回 結合伝送線路 - 結合機構と定式化 結合伝送線路の電信方程式を解く - モード、MSL間の結合 周期構造をもつ伝送線路 - 伝送特性と例 S行列とT行列 - Z -> S 変換, S <-> T 変換 伝送線路間の結合が生じる条件を説明できる。 周期構造をもつ伝送線路の特性と応用について説明できる。
第4回 導波管を伝搬する電磁界  -TEモードとTMモード,導波管中の電磁界,カットオフ, モード結合 スラブ導波路を伝搬する導波モードの電磁界及び伝搬定数とその方程式について理解する。導波路のモード結合について理解する。
第5回 方向性結合器と非線形効果  -方向性結合器,非線形カー効果、マッハツェンダー変調器、リング共振器 誘電体スラブ導波路の導波モードを例に取り方向性結合器の原理について理解する。非線形効果のひとつであるカー効果について理解し、応用として変調器、共振器の動作原理を理解する。
第6回 導波回路の電磁界数値計算  -各種の数値計算法、FDTD, BPM, BEM, FEM 導波回路の電磁界を数値計算により求める各種解法(FDTD, ビーム伝搬法、有限要素法、境界要素法)と具体的な手法の概略について理解する。
第7回 期末試験 第1回から第7回までの内容の理解度について試験を行う。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

T2Scholaにアップロードした講義ノート,講義資料を教科書として使用します。

参考書、講義資料等

岡本勝就. 光導波路の基礎. コロナ社; ISBN 978-4-339-00602-5.
栖原敏明. 光波工学. コロナ社; ISBN 433901141X, 9784339011418.
内藤喜之. マイクロ波・ミリ波工学. コロナ社; ISBN-978-4-339-00037-5.
榊原久二男・太郎丸真・藤森和博、波動伝送工学、朝倉書店、ISBN-13: 978-4-254-22216-6
F.R.Connor, Waves, Second Edition, Edward Arnold Ltd., ISBN-13: 9780713135671
荒木純道、回路とシステム論の基礎、数理工学社、ISBN-13: 978-4864810593
左貝潤一、導波光学、共立出版、:ISBN4-320-08616-3.

成績評価の基準及び方法

導波路中の電磁界の伝搬,電磁界の伝搬を制御する導波回路の基本的な要素の動作原理等の理解度を,期末試験によって評価する。

関連する科目

  • EEE.D461 : オプトエレクトロニクス
  • EEE.S461 : 光通信システム
  • EEE.S401 : 電磁波特論
  • EEE.S451 : 無線通信工学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

電磁気学第一(EEE.E201.R)及び電磁気学第二(EEE.E202.R)又は同等科目を履修していること。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

nishikata[at]ee.e.titech.ac.jp, 03-5734-3231
aoyagi[at]ee.e.titech.ac.jp, 03-5734-2992

このページのトップへ