本講義では, 我々が日常的に用いている無線LANや携帯電話などの無線通信システムを設計するための基礎知識として, 電波伝搬, 通信方式, 干渉回避技術, フェージング対策技術, 多重化技術などを学習する. そのために無線LANであるIEEE802.11aを題材とし, その使用環境, 要素技術, システム技術を学習し, その知識をもとにIEEE802.11a無線LANの送受信機の構成およびその仕様を読み取る.
本講義を履修することにより, 無線通信システムの回線設計ができる様になり, また変復調, ダイバーシチ, 誤り訂正符号, 適応符号化変調, 適応等化器, 直交周波数分割多重, アレー信号処理, MIMO空間多重などの現代の無線通信システムで利用されている基礎技術を身に付けることができる.
本講義を履修することによって次の能力を習得する.
1)与えられた使用環境に対して無線通信システムの基本的な回線設計が行える
2)現代の無線LANや携帯電話などの送受信機構成および基本仕様が読み取れる
3)無線通信システムをフーリエ変換や確率統計などを活用して数学的に表現できる
4)現代の無線通信システムで一般的に用いられている干渉回避技術,フェージング対策技術,多重化技術が理解できる
無線通信システム, システムモデル, 変復調, フェージング, ダイバーシチ, 誤り訂正符号, 適応符号化変調, 適応等化, OFDM, アレー信号処理, MIMO
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の最後に演習を行うことで理解を深める. またMATLABを用いたデモンストレーションを行うことで直感的な理解を促す.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 無線通信システムの概要 | 教科書1章,7章 |
第2回 | 無線アクセスの回線設計 | 教科書2章,5章 |
第3回 | 変復調と等価低域表現 | 信号システムとフーリエ変換の応用 |
第4回 | ディジタル変調と波形整形 | 教科書3.3章,3.4章 |
第5回 | 整合フィルタと復調方式 | 教科書3.5章 |
第6回 | 検波と謝り率特性 | 教科書3.5章 |
第7回 | 理解度確認総合演習 | 第1回から第6回までの理解度確認と到達度自己評価 |
第8回 | フェージングとダイバーシチ | 教科書4.4章 |
第9回 | 誤り訂正符号 | 教科書4.6章 |
第10回 | 適応符号化変調 | ディジタル変調と誤り訂正符号の応用 |
第11回 | 符号間干渉と適応等化器 | 教科書4.3章 |
第12回 | 直交周波数分割多重(OFDM) | 教科書3.7章 |
第13回 | アレー信号処理とMIMO通信システム | アレー信号処理とMIMO通信への拡張 |
第14回 | 理解度確認総合演習 | 第8回から第13回までの理解度確認と到達度自己評価 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
松江英明, 守倉正博, 佐藤明雄, 渡辺和二, 『高速ワイヤレスアクセス技術』, 電子情報通信学会, 2004年.
S. Haykin, M. Moher, "Communication Systems," 5th Eds, Wiley, 2009.
三瓶政一, 阪口啓, 『無線分散ネットワーク』, 電子情報通信学会, 2011年.
太郎丸眞, 阪口啓, 『ソフトウェアで作る無線機の設計法』, 科学情報出版, 2016年.
無線通信システムの回線設計,送受信機構成およびその仕様,システムの数学表現,干渉回避・フェージング対策・多重化などの要素技術に対して,その理解度を評価する.配点は,講義中に行う演習(50%),中間・期末試験(50%)とする.
通信理論,信号システムを履修していること.または同等の知識があること.