電磁波(マイクロ波,ミリ波,光波)は,情報通信,センシングなどの応用で利用されている。これらの応用においては,電磁波の伝搬を目的に応じて制御する必要がある。導波路を伝搬する電磁波の様態を制御することによって,電磁波パワーの分岐・結合,特定周波数の電磁波選択等の機能を実現することができる。
本講義では,基本的な導波路である同軸線路,導波管,誘電体導波路中を伝搬する電磁波の電磁界分布及び伝搬速度がどのようにして決まるのか説明する。また,電磁波回路の特性を表現するために用いられる散乱行列を説明した後,分岐・結合機能,周波数選択機能,伝搬方向によって異なる伝達特性を与える非相反機能などをもつ代表的な電磁波回路について,動作原理及び基本的な設計方法を説明する。さらに,電波法の考え方を説明する。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)様々な導波路を伝搬する電磁波の伝搬特性を理解する
2)電磁波回路の特性を散乱行列によって表すことができる
3)電磁波伝搬を制御する導波回路の動作原理を説明し,基本的な設計ができる
対応する学修到達目標は、
(1) 【専門力】基盤的な専門力
(4) 【展開力】(探究力又は設定力)整理及び分析できる力
(7) 幅広い専門知識を習得し,より高度な専門分野や他分野に自ら学修を広げる力
マイクロ波,ミリ波,光波,同軸線路,導波管,誘電体導波路,伝送線路上の電圧・電流分布,インピーダンス,定在波,カットオフ,散乱行列,インピーダンス整合,共振器,合分波回路,非相反素子,電波法
専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
✔ ・電気電子分野の応用専門力 |
講義のほかに,毎回の宿題を提出してもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 導波路の分類(2.1節),+z方向に伝搬する電磁波の分類(1.4節), 二導体系導波路(2.2節,2.3節) | 導波路の分類, +z方向に伝搬する電磁波の分類,二導体系導波路を説明する。 |
第2回 | 方形導波管(2.4節), 導波路モードの特性(1.6節),伝送損失(1.7節) | 方形導波管, 導波路モードの特性,伝送損失を説明する。 |
第3回 | 誘電体平板導波路(2.5節) | 誘電体平板導波路を説明する。 |
第4回 | レポート1(理解度確認),1ポート素子(3.1節),2ポート素子(3.2節) | 第1~3回の講義の理解度を確認する。1ポート素子,2ポート素子を説明する。 |
第5回 | 3ポート素子(3.3節),4ポート素子(3.4節) | 3ポート素子,4ポート素子を説明する。 |
第6回 | モード変換(3.5節),非可逆素子(3.6節) | モード変換,非可逆素子を説明する。 |
第7回 | レポート2(理解度確認),電波法関係の諸法令,規則 | 第4~6回の講義の理解度を確認する。電波法の考え方を説明する。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
広川二郎「導波路工学」
ペーパーバック版, デザインエッグ社
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Amazon Kindle e-book版
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T2SCHOLAにアップロードした講義資料を参考にすること
中島将光「マイクロ波工学」(森北出版), 1995,ISBN 978-462-771030-6
榊原久二男,太郎丸真,藤森和博,「波動伝送工学」(朝倉書店), 2019, ISBN978-4-254-22216-6
導波路を伝搬する電磁界分布及び伝搬定数が決まる要因,インピーダンスおよび定在波の考え方,基本的な導波回路の動作原理及び設計法に関する理解度を評価する。配点は,レポート(理解度確認)(約70%),宿題(約30%)。
電磁気学第一, 電気学第二, 波動工学を履修していること。