【講義の概要】
本講義では,誘電体及び磁性体の基礎を物質の誘電性と磁性に関するマクロ理論とミクロ理論から学ぶ.分極および磁化がどのような現象であるかを学び,それらに関して種々の特徴的な物性を理解し,それらに関連の材料とその応用についての理解を深める.
【講義のねらい】
現在のエレクトロニクスや電気工学では,誘電体及び磁性体が様々な場面で利用されている.本講義では物質の誘電性と磁性に関して理論から学ぶことで,分極および磁化がどのような現象であるかを意識し,実際の誘電体材料,磁性体材料についてその物質と物性の関係を理解できるようになることが望ましい.
本講義を履修することによって次の能力を修得する.
1)エレクトロニクスや電気工学で必要となる物質の誘電性・磁性を理解するための基礎を理解する.
2)分極とは何かを理解し,誘電分散,複素誘電率,誘電体・絶縁体を流れる電気伝導機構や強誘電性などを説明できる.
3)磁性の起源を理解し,磁化や磁気モーメント,スピン,反磁性,常磁性,強磁性などの説明ができる.
誘電体材料とその物性評価,誘電分極,気体・固体の誘電率,誘電分極の周波数特性と複素誘電率,強誘電体と相転移,磁性材料とその応用,磁化と磁気モーメント,スピン,反磁性・常磁性・強磁性
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義の後半で,その日の教授内容に関する簡単な演習問題に取り組んでもらいます.各回の学習目標をよく読み,課題を予習・復習で行って下さい.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 誘電体・絶縁体の基礎 | 双極子と分極,比誘電率の関係の理解 |
第2回 | 分極の起源 -双極子モーメント- | 永久双極子と誘起双極子の違いの理解 |
第3回 | 分極の種類 -電子分極、双極子分極- | 電子分極率と配向分極率の導出 |
第4回 | 分極率と比誘電率 | ローレンツの内部電界の理解,クラジウス-モソッティの式の導出 |
第5回 | 分極の形成過程 | シェーリングブリッジ法による誘電定数測定法の導出 |
第6回 | 交流電界における性質 -複素誘電率- | 複素誘電率と誘電正接(tanδ)の理解 |
第7回 | 誘電分散と誘電緩和時間評価 | 各分極による緩和過程,熱刺激電流測定法の理解 |
第8回 | 固体誘電体の電気伝導 | 空間電荷制限電流の導出 |
第9回 | 理解度確認総合演習,講義内容の流れの説明 -第1回から第8回までの内容の演習形式による確認 | 第1回から第8回までの理解度確認と到達度自己評価 |
第10回 | 強誘電体 | 自発分極,分極と電界の関係の理解 |
第11回 | 磁性の基礎 -磁化と磁気モーメント- | 磁化と磁気モーメントの関係の理解 |
第12回 | 磁性の起源 -軌道磁気モーメント,スピン磁気モーメント- | フントの規則の理解 |
第13回 | 磁性材料の分類 -反磁性- | 反磁性と超伝導体の関係の理解 |
第14回 | 磁性材料の分類 -常磁性- | 常磁性体の磁化率の温度依存性の理解 |
第15回 | 磁性材料の分類 -強磁性- | 強磁性体の磁化曲線の理解 |
岩本光正著『電気電子物性』オーム社, ISBN 978-4-274-21096-9
講義資料はOCW-iにて掲載
岩本光正編著『電気電子材料工学』オーム社, ISBN 4-274-13307-9
誘電体及び磁性体の基礎に関する理解度を評価する.
試験(80%)と演習(20%)で成績を評価する.
電磁気学第1,電磁気学第2を履修していること,または同等の知識があること.