1980年代以降に発展してきた分散制御理論について概論します.エネルギー管理システムや交通システムなどの大規模なネットワークシステムの解析と設計には,主に機械システムを対象にした中央集権的な制御理論を直接的に適用することは現実的ではありません.特に,大規模ネットワークシステムにおいては,複数の主体の意思決定より制御系の設計や運用が行われることを前提にして,安定度などのシステム全体の制御性能を高めていくことが求められます.本講義では,はじめにシステム制御分野における代表的な分散制御問題とその解法を紹介します.つぎに,消散性理論に基づくモデル集合型の制御系設計手法について,ナイキストの安定判別法などの古典制御理論を用いて解説します.また,分散的な意思決定を前提とした制御系設計として,分散最適化やレトロフィット制御に基づく手法について,その基本原理を解説します.
本講義を履修することによって,大規模ネットワークシステムの制御の考え方,代表的な問題の定式化,および基礎原理を修得することを目的とします.また,それらを理解することによって最先端の研究へも容易にアクセスできるようになり,受講生自身が新たな研究に従事できるようになることを目標とします.同時に,そのために必要となる消散性理論,最適化理論,レトロフィット制御などについて理解することを目指します.
ネットワークシステム,分散制御,マルチエージェントシステム,グラフ理論,消散性理論,有限周波数解析,分散最適化,レトロフィット制御
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
・概ね70分を目安にスライドを用いた講義を行います。
・概ね30分を目安に講義内容に関する演習課題に取り組みます。
・毎回の講義の冒頭で前回の演習課題の解説を行います。
・講義の復習のために動画視聴によるオンデマンド講義を提供します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ネットワークシステム制御 | ・ポートフォリオ上での科目位置づけを理解する. ・第1回オンデマンド講義を視聴し,レポート課題に取り組むことで,分散制御に関する基礎を習得する. |
第2回 | モデル集合に基づく制御系の解析と設計(1) | ・第2回オンデマンド講義を視聴し,レポート課題に取り組むことで,受動性に関する基礎を習得する. |
第3回 | モデル集合に基づく制御系の解析と設計(2) | ・第3回オンデマンド講義を視聴し,レポート課題に取り組むことで,有限周波数解析に関する基礎を習得する. |
第4回 | 分散最適化に基づくネットワークシステム設計 | ・第4回オンデマンド講義を視聴し,レポート課題に取り組むことで,分散最適化に関する基礎を習得する. |
第5回 | レトロフィット制御(1) | ・第5回オンデマンド講義を視聴し,レポート課題に取り組むことで,レトロフィット制御に関する基礎を習得する. |
第6回 | レトロフィット制御(2) | ・第6回オンデマンド講義を視聴し,レポート課題に取り組むことで,レトロフィット制御に関する基礎を習得する. |
第7回 | まとめ | ・講義を振り返り全体像を整理する. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
講義中に資料を配布します.
講義中に資料を配布します.
・ネットワークシステム制御の考え方,理論,解法およびそれらの応用に関する理解度を評価します.
・毎回の講義で出題される演習課題のレポートによって評価します。
SCE.C.202, SCE.C.301, SCE.C.402, SCE.C.531, SCE.C.501, SCE.C.502を履修しているを履修していること,または同等の知識があること.
tel: 03-5734-3179, email: ishizaki[at]sc.e.titech.ac.jp