本講義では、デジタル技術に基づくシステム設計開発の基礎を学びます。現在の我々の便利で快適な生活は、IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)などの数多くのデジタル技術に支えられています。特に近年では、5G(第5世代移動通信システム)やブロックチェーンなどの技術が開発され、未来社会におけるそれらの活用方法が活発に議論されています。このような背景から、本講義では、未来のデジタル社会の実現に向けたシステムの設計開発に必要となる概念や思考の基礎を学びます。
本講義のねらいは、Pythonプログラミング、機械学習による画像解析、マイコンによる電子回路操作などの演習を通して、システム開発のための要素技術を身につけることです。同時に、私たちの社会で運用されているデジタル技術に下支えされたシステムの事例をグループで調査・分析・議論することにより、「良いシステム」を実現するためにはフィードバック構造(サイクル・スパイラル)の設計が重要であることを学びます。さらに、調査結果のプレゼンテーションを通して、自身の考えを簡潔明瞭に伝えるコミュニケーション力を向上することを目指します。
本講義を履修することによって以下の能力を修得します。
1)フォトリフレクタ回路や発光ダイオード回路などの作成を行い、マイコンによりそれらの動作をプログラミングすることができる。
2)クラウド実行環境におけるPythonプログラミングにより、機械学習による画像解析を行うことができる。
3)グループワークにより文献や記事を調査し、実システムの構成要素やそれらの相互作用構造を説明できるようになる。
Python、機械学習、マイコン、電子回路、デジタル技術、システム思考、フィードバック構造
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
本講義は、〈A〉電子回路・マイコン基礎、〈B〉機械学習による画像解析基礎、〈C〉デジタル創造基礎の3部で構成されます。〈A〉と〈B〉では、講義と演習を行います。〈C〉では、グループディスカッションおよびプレゼンテーションを行います。
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | オリエンテーション | デジタル技術の重要性を説明できるようになる。 |
第2回 | 〈A-1〉電子回路・マイコンの基礎 | 電子回路を構成する基本素子や代表的なセンサーに関する知識を習得する.マイコンの基本的な仕組みと種類を説明できるようになる. |
第3回 | 〈C-1〉事例調査とグループディスカッション(1) | デジタル技術に関する複数のキーワードを説明できるようになる。クラウドサービスやコミュニケーションツールをチーム作業に活用できるようになる。 |
第4回 | 〈A-2〉マイコンによる電子回路の動作(1) | フォトリフレクタ回路などの簡単な回路を作成し,マイコンにより動作させることが出来るようになる. |
第5回 | 〈C-2〉事例調査とグループディスカッション(2) | デジタル技術を活用したシステムの事例を取り上げ、システムの目的や解決を目指す課題を説明できるようになる。プレゼンテーションツールを用いて調査結果を文書化することができる。 |
第6回 | 〈A-3〉マイコンによる電子回路の動作(2) | 複数の素子を含む回路を作成し,センサ素子からの入力に応じて出力が変化する回路動作をマイコンによって実現できる. |
第7回 | 〈C-3〉事例調査に関するプレゼンテーション(1/2) | プレゼンテーションによって調査結果を簡潔明瞭に説明できるようになる。他者のプレゼンテーションに対して自身の意見を伝えられるようになる。 |
第8回 | 〈C-4〉事例調査に関するプレゼンテーション(2/2) | プレゼンテーションによって調査結果を簡潔明瞭に説明できるようになる。他者のプレゼンテーションに対して自身の意見を伝えられるようになる。 |
第9回 | 〈B-1〉クラウド開発環境の構築 | クラウド開発環境で簡単なPythonプログラミングができるようになる。 |
第10回 | 〈C-5〉システム分析とグループディスカッション(1) | デジタル技術を活用したシステムの事例を取り上げ、システム運用に関わる主体や構成要素を分析できるようになる。 |
第11回 | 〈B-2〉画像分類のための特徴量抽出 | 画像の特徴量抽出ができるようになる。 |
第12回 | 〈C-6〉システム分析とグループディスカッション(2) | デジタル技術を活用したシステムの事例を取り上げ、内在するフィードバック構造の観点でシステムを分析できるようになる。 |
第13回 | 〈B-3〉線形回帰による二値分類 | 特徴量抽出された画像を線形回帰により二値分類できるようになる。 |
第14回 | 〈C-7〉システム分析に関するプレゼンテーション | プレゼンテーションによって分析結果を簡潔明瞭に説明できるようになる。他者のプレゼンテーションに対して自身の意見を伝えられるようになる。 |
〈A〉と〈B〉では、学修効果を上げるため、配布資料の該当箇所を参照し、「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。〈C〉では、Slackなどのコミュニケーションツールを用いて、講義時間における議論をまとめ、つぎの講義における議論の内容を予め整理しておくこと。
特になし。
必要に応じて講義資料を配布する。
〈A〉と〈B〉では、授業への出席と配布資料に記載された課題の進捗を評価する。〈C〉では、グループワークにおける貢献、プレゼンテーションにおける説明の簡潔明瞭さ、最終レポートの完成度を総合的に評価する。
特になし。
本科目は、34Qの◎科目であるサイバーフィジカルソリューションを履修するための推奨科目である。