[講義の概要] 本講義では、有機金属錯体の基礎についてアルキル錯体、ヒドリド錯体、カルボニル錯体、オレフィン錯体など、有機金属錯体を構成する特徴的な配位子の化学について、それらの合成法や反応性について解説する。
[講義のねらい] 有機遷移金属錯体を構成する個々の配位子の特長を理解することは、遷移金属錯体を触媒とした様々な反応を理解するため、および新しい触媒反応を設計するために必須である。本講義では代表的な配位子の化学を通じて有機遷移金属錯体化学の基礎を学ぶことを目的とする。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) d軌道と配位子とのπ相互作用について説明できる。
2) 18電子則を説明できる。
3) アルキル錯体、ヒドリド錯体の合成法および反応性を説明できる。
4) カルボニル錯体、ホスフィン錯体の性質を説明できる。
5) アルケンおよびアルキン錯体の性質を説明できる。
配位子場理論、18電子則、アルキル錯体、ヒドリド錯体、カルボニル錯体、ホスフィン錯体、アルケン錯体、アルキン錯体、σ錯体、π錯体、供与・逆供与
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
この講義では、まず遷移金属と配位子との相互作用について説明し、アルキル配位子、ヒドリド配位子、カルボニル配位子などの個々の配位子の化学および特長について解説する。最終日には理解度確認のための期末試験を実施する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 配位子場理論と18電子則 | d軌道と配位子との相互作用を理解し、18電子側を用いて錯体の電子数を求めることができる。説明できる |
第2回 | アルキル、アリール錯体および関連するσ配位型の配位子 | アルキル錯体の合成法と反応性を説明できる。 |
第3回 | ヒドリド錯体 | ヒドリド錯体の合成法と反応性を説明できる。 |
第4回 | カルボニルおよびホスフィン錯体 | カルボニルおよびホスフィン錯体の性質や反応性を説明できる。 |
第5回 | アルケンおよびアルキン錯体 | アルケンおよびアルキン錯体錯体の性質や反応性を説明できる。 |
第6回 | アリル、ジエン、シクロペンタジエニル、アレーン錯体 | 多座の不飽和炭化水素配位子の性質を説明できる。 |
第7回 | 理解度確認のための演習と解説 | 第1~6回の講義内容を理解し、演習問題に解答できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
Robert H. Crabtree著、 “The Organometallic Chemistry of the Transition Metals” 6th Ed., ISBN: 978-1-118-13807-6
1) 山本明夫著、「有機金属化学 -基礎と応用―」裳華房、ISBN: 978-4785333010
2) 授業で扱う全ての資料は、事前にOCW-iにアップする。
期末試験(70%)、授業参加度(30%)(授業参加度は授業中の小テストなどにより算出する)
履修の条件は設けないが、無機化学(理論2)(CAP.A372)および無機化学(錯体化学)(CAP.A373)を履修していることが望ましい。
高尾俊郎 (takao.t.aa[at]m.titech.ac.jp; 内線2580)
メールで事前予約すること。