本講義の目的は, 微分可能多様体の基本的な概念と性質について学んでもらうことである。多様体の概念は数学のみならず関連する諸分野, 例えば理論物理学に
おいても重要なものであるが, 初学者にとってこのような抽象的な概念は理解しにくいものである。たくさんの具体的な例をあげ, 理解の一助にしてもらうつもりである。
講義では, 多様体の定義から初め, 多様体上の関数, 多様体間の写像が滑らかであることの定義, 正則値の逆像を使った多様体の構成方法, 接ベクトルと接空間,写像の微分、正則値、臨界点、逆関数定理、Sardの定理、はめ込みと埋め込み、部分多様体、1の分割、ベクトル場について解説する。
本科目は演習科目「幾何学演習B第一」とセットで履修することが強く推奨される。
・多様体の定義を理解すること。
・多様体の例を5つ以上挙げることができるようになること。
・多様体上の関数, 多様体間の写像が滑らかであるということの定義を理解すること。
・正則値の逆像を使って多様体を構成する方法を知ること。
・接ベクトルと接空間の定義を理解すること。
・写像の微分の定義を理解すること。
・部分多様体の例を3つ以上挙げることができるようになること。
・1の分割の使い方に慣れること。
・ベクトル場の括弧積と積分曲線について理解すること。
多様体、微分構造、滑らかな関数、 滑らかな写像、 正則値、 射影空間、 接ベクトル、 接空間、 写像の微分、正則値、臨界点、逆関数定理、サードの定理、はめ込みと埋め込み、ホイットニーの埋め込み定理、1の分割、ベクトル場、括弧積、積分曲線、1助変数変換群
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 多様体の定義、多様体の例(球面) | 講義中に指示する |
第2回 | 多様体の例(球面以外の例)、微分構造 | 講義中に指示する |
第3回 | 滑らかな関数と写像、正則値定理による多様体の構成 | 講義中に指示する |
第4回 | 正則値定理の証明 | 講義中に指示する |
第5回 | 実射影空間、実射影平面上の曲線 | 講義中に指示する |
第6回 | 複素射影空間、接ベクトルの定義 | 講義中に指示する |
第7回 | 接空間の定義、接空間がベクトル空間になること | 講義中に指示する |
第8回 | 写像の微分、正則点、臨界点 | 講義中に指示する |
第9回 | 逆関数定理、正則値の逆像、サードの定理 | 講義中に指示する |
第10回 | はめ込み、埋め込み | 講義中に指示する |
第11回 | 部分多様体と埋め込みとの関係 | 講義中に指示する |
第12回 | ホイットニーの埋め込み定理、1の分割 | 講義中に指示する |
第13回 | ベクトル場、括弧積, 積分曲線 | 講義中に指示する |
第14回 | 1助変数変換群 | 講義中に指示する |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
使用しない
「多様体の基礎」松本幸夫著 東京大学出版会 (1998年)
「多様体入門」松島与三著 裳華房 (1965年)
「多様体」服部晶夫著 岩波書店 (1989年)
期末試験により評価する。詳細は講義中に指示する。
集合と位相第二、解析概論第一を履修済みであることが望ましい。