21世紀は「光の時代である」といわれている。エネルギーや環境、情報など重要な分野において、光が関わる科学・技術が中心的な役割を期待されているからである。
本講義では、この領域において中心的な学問分野の一つである光化学、特に光により引き起こされる多様な化学反応に関して学ぶ。
光化学、特に光により引き起こされる多様な化学反応を理解し、その応用分野に関する知識を身につける。
光化学、光反応化学、光物理過程
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
まず、光反応化学を論理的に理解するために必用な基礎知識を講義し、その後、有機分子を例にとって、光を吸収することによって生成する励起状態の電子構造と性質の相関、その代表的な反応について説明する。実用的な応用例に関しても詳しく述べる。
これらの知識を基礎に、最近研究の進展が著しい金属錯体や無機半導体の光物性、光反応性、そして発光材料や光触媒への応用に関して学んでいく。最後に、太陽エネルギーの化学エネルギーへの変換,化学発光、電気化学発光に関して、研究意義と最新の研究を紹介する予定である。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 光化学の基礎 | 光反応と熱反応の違い、光化学の特徴、光反応の応用、光化学における基本的な法則、光反応における効率とは |
第2回 | 光化学における実験手法 | 光照射、反応効率の測定 |
第3回 | 有機化合物の光反応I | 結合の開裂反応、異性化反応 |
第4回 | 有機化合物の光反応II | 水素引き抜き反応、励起エネルギー移動 |
第5回 | 無機光化学と光電子移動反応 | 金属錯体と半導体の励起状態と特性、光電子移動の原理と応用、光合成、人工光合成 |
第6回 | 化学発光と電気化学的発光 | 基礎と応用、EL素子 |
第7回 | 質問、その後試験 | 光化学に関する質問を受け付ける。その後、基礎知識を問う試験を行う。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
プリントを配布する
日本語は以下の本が良いだろう。
井上晴夫ら:光化学I(基礎化学シリーズ)、丸善
(コンパクトにまとめられている)
徳丸克己:有機光化学反応論、東京化学同人
(良い本だが絶版、図書館にある)
佐々木陽一、石谷 治:金属錯体の光化学、三共出版
(錯体光化学の入門書)
大谷文章:光触媒のしくみがわかる本、技術評論社
試験のみ
光化学に関する基礎知識を有している学生は履修する必要はない。東工大の学部向け授業「光化学」の内容を短縮した形で教えるので、この講義で単位を取った学生は履修しないように。更に光化学に関して深く学びたい学生は、来年行われる「光反応特論 II」を履修すると良い。
ishitani[at]chem.titech.ac.jp
内線2240
質問のある学生は授業終了後、もしくはメイルで時間調整をしてから教授室に来てください。