H31年度 材料組織の形成と拡散   Microstructure Evolution and Diffusion in Metals

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開講元
エネルギーコース
担当教員名
木村 好里  中田 伸生 
授業形態
講義
曜日・時限(講義室)
月3-4(J234)  木3-4(J234)  
クラス
-
科目コード
ENR.J405
単位数
2
開講年度
H31年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
H31年3月18日
講義資料更新日
H31年7月31日
使用言語
英語
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講義の概要とねらい

金属材料組織の形成と変化について基礎となる拡散の理論を相平衡と速度論の視点から理解し、組織因子としての格子欠陥や相界面が金属材料の機械的性質や機能特性に及ぼす影響を理解することが本講義の目的である。金属材料の物理的性質、機械的特性、機能特性は、材料組成ばかりでなく材料組織によって決定される。まず、組織形成の理解に不可欠な状態図の物理的および熱力学的な背景を説明し、状態図から相平衡および組織形成に関する情報を正しく読み解く方法を身につけ、異相界面と格子欠陥を含む材料組織の制御による機能特性の改善法を学ぶ。通常、拡散の活発な温度域における材料組織の変化は拡散律速型で進行する。本講義では、数学的な取扱いの容易な合金材料を対象として拡散理論の基礎について詳細に説明し、Fickの法則に基づく拡散方程式の解法を紹介する。さらに相平衡の視点に立脚し、拡散方程式の解を用いて組織変化の速度論的挙動を理解するための手法を議論する。

到達目標

 本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)金属組織の基礎となる合金状態図を二元系から三元系まで理解して、熱力学的な背景の理解の下で相平衡の情報を正しく読み取ることができる。
2)核生成と成長の古典論を理解して、結晶方位に依存した凝固組織の形成過程、不均一核生成による凝固と析出の過程を説明できる。
3)不変系反応である共晶反応および包晶反応による凝固組織の特徴を説明でき、鉄鋼材料の共析反応による組織と機械的性質の関連を説明できる。
4)アルミニウム合金における過飽和固溶体からの析出反応による組織の経時変化と析出強化機構を説明でき、析出粒子サイズに依存する異相界面の整合性を説明できる。
5)鉄鋼材料の非熱弾性型マルテンサイト変態による組織を説明でき、熱弾性型マルテンサイト変態による形状記憶効果と超弾性を説明できる。
6)塑性変形組織の温度と時間に依存する変化として回復、再結晶、粗大化の過程を説明できる。
7)延性および脆性変形による破断面、ならびに繰り返し疲労変形による転位組織と破断面の特徴を説明できる。
8)Fickの法則に基づき、固体における拡散現象の理論を説明できる。
9)拡散方程式の解法、ならびに、これを用いた拡散係数の決定法を説明できる。

キーワード

状態図、ギブズ相律、相平衡、相変態、不変系反応、凝固、析出、拡散、Fickの法則

学生が身につける力

国際的教養力 コミュニケーション力 専門力 課題設定力 実践力または解決力
- -

授業の進め方

毎回の講義において講義資料と演習課題を配布します。講義資料は内容の理解を助けるために用います。演習課題は講義内で取り組む場合、宿題として持ち帰る場合があります。各回の授業内容をよく読み,参考図書や講義資料を用いて講義の予習と復習を行って下さい。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 二元系状態図における相平衡と相安定性 金属材料の組織形成を理解するための基礎となる二元系状態図における相領域と相平衡の情報を読み取り、化学ポテンシャルを用いた熱力学的な異相平衡条件を説明できる。
第2回 凝固反応と組織形成 核生成と成長についての古典論を理解して不均一核生成が説明できる。結晶学的優先成長方位と樹枝状晶の関係を説明できる。
第3回 二元系における不変系反応と組織形成 二元系の不変系反応として、共晶および共析反応と包晶および包析反応による組織形成過程と組織形態の特徴を説明できる。不変系反応とGibbs相律の関係を理解して二元系から三元系への拡張の方法を説明できる。
第4回 二元系状態図から三元系状態図への拡張 二元系からの拡張として三元系状態図の組成表記方法と等温度断面、縦断面を理解して相平衡の情報を読み取ることができ、三元系の異相平衡条件を説明できる。
第5回 三元系における不変系反応と反応経路 三元系状態図における3種類のタイプに分類される不変系反応,反応経路、液相面投影図を理解して相平衡の情報を読み取ることができ,説明できる.
第6回 析出反応と組織形成 アルミ合金を例として過飽和固溶体からの析出反応による組織形成および時効硬化を説明できる。不連続析出による粒界反応型セル状組織の特徴が説明できる。
第7回 材料組織の経時変化 塑性変形による組織変化、その後の回復、再結晶、粗大化の過程を説明できる。延性および脆性破壊の破断面、繰り返し疲労で形成する組織と破断面の特徴を説明できる。
第8回 理解度確認,復習,補足 前半(第1回から第7回)のトピックスに関する理解が不十分なところを復習,補足し,理解度確認テストを実施する.
第9回 Fickの第一法則 時間に対して濃度変化が生じない定常状態での拡散現象について、拡散流束の概念を理解し、これが濃度勾配に比例するという法則(Fickの第一法則)を説明できる。
第10回 Fickの第二法則 時間に対して濃度変化が生じる非定常状態での拡散現象について、物質収支の原理を理解し、これによって濃度分布変化を記述する拡散方程式(Fickの第二法則)を説明できる。
第11回 変数分離法による拡散方程式の解法 時間と位置を関数とする濃度変化に対して、変数分離法を適用し、初期条件と境界条件を与えることで拡散方程式を記述できる。
第12回 ラプラス変換法による拡散方程式の解法 時間と位置を関数とする濃度変化に対して、ラプラス変換法を適用し、拡散方程式を記述できる。
第13回 Boltzmann-Matanoの解析法 Boltzmann-Matanoの解析法による濃度に依存した拡散係数の導出を説明できる。
第14回 Darkenの解析法 Darkenの解析法による相互拡散係数の導出を説明できる。
第15回 種々の拡散係数の関係 体拡散係数、粒界拡散係数、相互拡散係数など種々の拡散係数とその関係について説明できる。

教科書

配布プリント

参考書、講義資料等

西澤泰二・田村今男・須藤一 共著 『金属組織学』 丸善,ISBN-13: 978-4621082430,西澤泰二 著『ミクロ組織の熱力学』日本金属学会,ISBN-13: 978-4889030280,幸田成康 著 『金属物理学序論』 コロナ社, ISBN-13: 978-4339042870.

成績評価の基準及び方法

拡散に関する法則,拡散方程の解法,拡散係数の解析法,組織形成に関する平衡論としての状態図,凝固・析出・無拡散相転移に伴う組織形成,組織形成に関する速度論の理解度を総合的に評価する。理解度確認テストおよび期末試験60%、演習課題40%により評価する。講義の前後半それぞれ50点満点,合計で100点満点として,60点以上を合格とする.

関連する科目

  • 相平衡の熱力学
  • 金属の相変態と組織制御
  • 移動速度論
  • 鉄鋼材料設計学特論
  • 非鉄金属材料設計学特論
  • 材料の環境劣化

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特に定めない

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

木村好里 kimura.y.ac[at]m.titech.ac.jp, 045-924-5157
中田伸生 nakada.n.aa[at]m.titech.ac.jp, 045-924-5622

オフィスアワー

講義開始時に特定の時間を告知する予定ですが、基本的にメールまたは電話等で教員の都合を問い合わせてください。

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