場の理論において、対称性が量子レベルで微妙に破れる「アノマリー」という現象は古くから知られていましたが、近年になって
物性物理のトポロジカル相や超弦理論に触発された発展で、アノマリーの概念的理解や、多様なアノマリーの種類の発見など、非常に進歩しています。
それらの発展の一部分についてお話しします。特に、フェルミオンが持つアノマリーの場合を詳しくお話しする予定です。
背景知識としては、場の理論で摂動的アノマリーなどの初歩的な話について知っているのが望ましいです。
アノマリーは多くの文献や教科書では「ゲージ変換に関する対称性の破れ」と理解されていますが、
これは現代的視点では最も一般的な考え方ではありません。
ゲージ変換という考え方を使わず、アノマリーの持つ幾何学的な性質に焦点を置きます。
さらに、アノマリーを持った理論はinvertible field theory、SPT phaseと呼ばれる1次元高い理論で特徴付けられ、
そのような1次元高い理論の境界に現れるということを理解していただくことを目標にします。
アノマリー, フェルミオン, 指数定理
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回出席を取る
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | (0) Overview | 場の量子論におけるアノマリーの基本的意味合いについて理解する。 |
第2回 | (1) Axial U(1) anomalyとAtiyah-Singer指数定理 | Axial U(1) anomaly と指数定理の関係について理解する。 |
第3回 | (2) Parity anomaly | パリティアノマリーがどのようなものであるか、その基本的性質について理解する。 |
第4回 | (3) Weyl fermionの摂動的アノマリーとアノマリー多項式 | ワイルフェルミオンによって生じる摂動的なアノマリーがアノマリー多項式と呼ばれる量によって記述されることを理解する。 |
第5回 | (4) 一般的なアノマリーの考え方とinvertible field theory, SPT phase | invertible field theory や SPT phase といった概念について理解する。 |
第6回 | (5) Atiyah-Patodi-Singer指数定理、Dai-Freedの定理など | Atiyah-Patodi-Singer指数定理、Dai-Freedの定理などがアノマリーとどのように関係しているかを理解する。 |
第7回 | (6) Cobordism | アノマリーと Cobordism の関係について理解する。 |
第8回 | (7) いろんなアノマリーの具体例 | いろいろなアノマリーの具体例について理解する。 |
特になし
ただし、予備知識として知っていると多少便利かもしれないものとしては
S. Weinberg ``The Quantum Theory of Fields Vol.2”, Chapter 22 “Anomalies”
がある。
特になし
レポートによって評価する
特になし