2018年度 物理学特別講義第十九   Special Lectures in Physics XIX

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
物理学コース
担当教員名
仙場 浩一 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
集中講義等   
クラス
-
科目コード
PHY.P548
単位数
1
開講年度
2018年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2018年7月29日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
アクセスランキング
media

講義の概要とねらい

この講義では、物質と光の相互作用に注目して、自然な原子の代わりに超伝導人工原子を用いた量子電磁力学の研究の最前線までを概観します。これまで、物質と光の相互作用が極端に強い領域は、適切な実験手段がなく謎に包まれていました。この未解明領域で生じる新現象を見つけ理解することを目的に始まった我々の研究では、共振回路中の電磁場と非常に強く相互作用できる超伝導人工原子を研究対象にしてきました。この手法を使って実現できる異なる量子系間のコヒーレントな結合を目指した量子ハイブリッド系の研究や、量子シミュレーター、量子コンピュータへの応用を支えている回路量子電磁力学についても解説します。

到達目標

半導体微細加工技術の飛躍的な発達によって、従来、天然の原子を用いて行われてきた 1つの光子レベルでの 物質と光(電磁場) の相互作用の研究が、今日では、超伝導人工原子という電気回路を使って可能なことを理解してもらいたい。この新種の人工原子の本質を理解し、古典領域では不可能であった物理現象や効果 例えば 大きな零点揺らぎ電流 を積極的に利用すれば相互作用の桁違いの増強も可能なこと などを理解してこの分野の最前線の研究を理解する力 さらには、独自の発想により新たな課題を設定する力を身に付けてもらいたい。

キーワード

回路量子電磁力学  巨視的量子系  超伝導人工原子  ジョセフソン接合  量子ゆらぎ 零点エネルギー ハイブリッド量子系  量子コヒーレンス  強結合

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

毎回出席を取る

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 いまなぜ巨視的量子系が面白いか?     シュレディンガーの猫のパラドックスから量子コンピュータまで
第2回 超伝導現象を通して見た巨視的量子現象     ミクロの不思議な現象がマクロで生じる!? → MQT, MQC
第3回 超伝導量子回路-1     超伝導量子ビット 作り方、測り方、 重ね合わせ状態の実現方法
第4回 超伝導量子回路-2     超伝導量子ビット ダイナミックスの測定と量子状態操作方法
第5回 cavity QED から 回路QED      巨視的量子系の恩恵:桁違いの強結合
第6回 異なる量子系の組み合わせ:ハイブリッド量子系     超伝導量子ビット と ダイヤモンドNVセンター の強結合など
第7回 量子情報処理の展望  (+0.5 は質疑応答など)

教科書

特になし

参考書、講義資料等

・日本物理学会誌 Vol.64, No.1 (2009). 「超伝導回路で共振器量子電磁力学実験が可能に!」 ~ジョセフソン cavity-QED~ 仙場 浩一, 齊藤志郎, 角柳孝輔, 中ノ勇人
・固体物理<量子コンピューターへの道>特集号 Vol.48, No.11 (2013). 「超伝導量子ビットとダイヤモンド中の電子スピン集団の強結合」 ~ハイブリッド量子系~ 仙場 浩一, 齊藤志郎, 角柳孝輔
・数理科学 No.607, January 2014 p.39-44, 「巨視的量子世界からみた光子の裁判」 仙場 浩一著
・日本物理学会誌 Vol.73, No.1 (2018). 「超伝導人工原子と電磁場の相互作用」 ~強結合のその先へ~ 布施智子, 吉原文樹, 角柳孝輔, 仙場 浩一

成績評価の基準及び方法

講義に関連したレポート、授業への貢献度、授業中の質問、などで判定する

関連する科目

  • 特になし

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし

このページのトップへ