「人工量子物質における量子シミュレーションとトポロジカル物性」
講師:小澤知己氏(東北大学)
本講義では凝縮系物理と原子・分子・光物理の境界領域で近年急速に研究が進展している人工量子物質における物性物理研究を紹介する。人工量子物質の例は、冷却原子系、イオントラップ、光ピンセット列など原子を対象としたもの、フォトニック結晶、光共振器列や導波路列など光を対象としたもの、またポラリトン系など光と物質の複合粒子を対象としたものなど幅広い。これらの系に共通しているのはレーザーに代表される原子・分子・光物理の技術を用いて多数の原子や光子を精密に制御して多体物性を調べるという点である。調べたいハミルトニアンや模型を人工量子系で実現してその性質を調べる研究手法は量子シミュレーションとも呼ばれる。人工量子物質の物性物理研究は固体電子系に代表される従来の凝縮系物性とどう違うのか(そしてどこが共通しているのか)を解説し、特に人工量子物質でのトポロジカル物性の研究の最近の進展を追う。
博士課程学生に対し、担当講師が設定する高い水準まで十分に内容を理解すること。
担当講師が設定する発展的課題を解決する。
人工量子系、量子シミュレーション、トポロジカル物性
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
集中講義形式で日本語で行う。
6/8(水)13:00-17:30(途中休憩含む)
6/9(木)13:00-17:30(途中休憩含む)
6/10(金)13:00-17:30(途中休憩含む)
場所:未定
授業計画 | 課題 | |
---|---|---|
第1回 | 人工量子物質とは | 担当講師が講義中に指示する。 |
第2回 | 人工量子物質を用いた量子シミュレーション | |
第3回 | トポロジカル物性の基礎1 | |
第4回 | トポロジカル物性の基礎2 | |
第5回 | トポロジカル物性の量子シミュレーション | |
第6回 | 古典物質におけるトポロジカル物性 | |
第7回 | 人工次元と高次元物性 | |
第8回 | トポロジカルレーザー | |
第9回 | 量子シミュレータから量子コンピュータへ |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
特になし。
[1] Pethick and Smith, "Bose-Einstein Condensation in Dilute Gases, 2nd Edition" (Cambridge, 2008)
[2] Stringari and Pitaevskii, "Bose-Einstein Condensation and Superfluidity" (Oxford, 2016)
[3] Joannopoulos, Johnson, Winn, and Meade, "Photonic Crystals, 2nd Edition" (Princeton, 2008)
[4] Bernevig and Hughes, "Topological Insulators and Topological Superconductors" (Princeton, 2013)
その他、参考文献や総説論文等は講義中に紹介する。
授業中の質問や議論、および講義内容に関連したレポートによる。
特になし。