本講義では,大気や海洋などを代表とする大規模な地球流体に関する基礎方程式である,回転項と浮力成層項を含む非圧縮性流体方程式の数学解析について解説する.前半では,振動積分に関する基礎的な評価について解説し,その応用として回転流体方程式および成層流体方程式の線形解に対する時間減衰評価と時空間積分評価について紹介する.後半では,非線形方程式の初期値問題に対する適切性,および回転速度または浮力周波数を無限大とする極限における解の漸近挙動について解説する.
本講義の目的は,振動積分評価の基礎的内容について学ぶとともに,非圧縮性回転成層流体方程式の適切性や解の漸近挙動解析を通じて,非線形偏微分方程式の数学解析に有効な実解析学的手法を理解することである.
・振動積分評価の基礎的事項を理解する.
・非圧縮性回転成層流体方程式の数学解析に関する基礎的な手法を理解する.
非圧縮性回転成層流体,振動積分,分散型評価,Navier-Stokes方程式,Boussinesq方程式
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う.また,適宜レポート課題を出す.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 以下の内容を順に解説する予定である. ・振動積分評価 ・非圧縮回転成層流体方程式の導出 ・線形解公式 ・線形解の時間減衰評価と時空間積分評価 ・非線形方程式の初期値問題の適切性 ・高速回転極限および強成層極限における解の漸近挙動 | 講義中に指示する. |
使用しない.
[1] J.-Y. Chemin, B. Desjardins, I. Gallagher, and E. Grenier, Mathematical geophysics. An introduction to rotating fluids and the Navier-Stokes equations, The Clarendon Press, Oxford University Press, Oxford, 2006.
[2] E. M. Stein, and R. Shakarchi, Functional analysis. Introduction to further topics in analysis, Princeton University Press, Princeton, NJ, 2011.
レポート課題(100%)による.
特に無し.