この講義では、正標数の手法を用いた可換環論の理論である”密着閉包”(tight closure)について学ぶ。密着閉包は1986年にHochster-Hunekeにより創始された理論であり、当初は可換環論における特異点の構造解析を目指しつつ、未解決問題を解決する強力な手法として発展していった。より最近ではパーフェクトイド理論や志村多様体など数論的対象との関係も明らかになりつつあり、この様な動向も視野に入れて講義を行う。
1 Frobenius写像の基本的性質について理解する 。
2 密着閉包とF-特異点の関係について理解する。
3 Kunzの定理の証明と意味を理解する。
4 パーフェクトイド理論の初歩について理解する。
Frobenius写像、密着閉包、F-正則環、F-有理環、F-入射環、パーフェクトイド代数
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 以下の内容について講義する。 (1) Frobenius写像とFrobenius関手 (2) 密着閉包とイデアル商 (3) Kunzの定理 (4) F-正則環、F-有理環、F-純環 (5) 局所コホモロジーのFrobenius作用 (6) パーフェクト代数とパーフェクトイド代数 (7) Big Cohen-Macaulay代数 | レポート問題を授業中に出す。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ 30 分を目安に行うこと。
使用しない。
「Cohen-Macaulay Rings」:W.Bruns and J.Herzog
「Foundations of Tight Closure Theory」:M. Hochster
「F-singularities: a commutative algebra appraoch」: L. Ma and T. Polstra
レポート課題の評価による(100%)。
学部で習得する代数学を学んでおくと望ましい。MTH.A401「代数学特論A」の履修が望ましい。