この講義は, (代数)曲線のモジュライ空間に関する最近の(それぞれ独立した)トピックをいくつか解説する. 代数幾何学において, モジュライ理論とは代数多様体(もしくはより一般に, それらに伴う幾何学的対象)の変形の在り方に関する諸研究のことを意味する. 曲線のモジュライ空間に関する研究はリーマンに始まる. その後, 1960年代にはマンフォードらによって厳密な取り扱いがなされ, それ以降, 発展の一途をたどることになる. 近年においては特に, 様々な研究領域との繋がりが見出されている. この講義のねらいは, 数論幾何学や代数幾何学において現れるそのような「繋がり」のいくつかを概観することである. 例えば, トロピカル幾何学, 遠アーベル幾何学, p進タイヒミュラー理論などに関するトピックを予定している. (ただし, 授業計画は変更する可能性があることに注意されたい.)
(1) 曲線のモジュライに関する最近の展開についてある程度の知識を得る.
(2) 数論幾何学もしくは代数幾何学において扱われる然るべき概念と曲線のモジュライとの関係について理解する.
(代数)曲線のモジュライ, トロピカル幾何学, 遠アーベル幾何学, 交叉理論, p進タイヒミュラー理論.
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式。レポート課題を講義中に与える.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 曲線のモジュライとその基礎(イントロダクション) | 講義中に指示する. |
第2回 | 曲線のモジュライとトロピカル幾何学 | |
第3回 | 曲線のモジュライと遠アーベル幾何学 I | |
第4回 | 曲線のモジュライと遠アーベル幾何学 II | |
第5回 | 曲線のモジュライと交叉理論 I | |
第6回 | 曲線のモジュライと交叉理論 II | |
第7回 | 曲線のモジュライとp進タイヒミュラー理論 I | |
第8回 | 曲線のモジュライとp進タイヒミュラー理論 II |
特に指定しない.
授業開始時にプリントなどを適宜配布する.
レポートによる評価.
スキーム論の基本的な知識を仮定する (e.g., R. Hartshorne, "Algebraic Geometry", GTM 52, Springer-Verlag, ISBN 0-387-90244-9).
また, 関連する科目を履修していることが望ましい.