本講義は1Q「解析学特論E1」の続きである。リーマン面とは、実2次元の多様体でありかつ座標変換が正則写像で与えられるもののことである。等角同値なリーマン面の類全体から成る集合に、幾何学的な構造を与えたものをモジュライ空間という。タイヒミュラー空間は、モジュライ空間の普遍被覆であり各点は標識付けられたリーマン面の同値類から成っている。Ahlforsはタイヒミュラー空間に初めて複素構造を導入した。本講義ではAhlforsの手法を見て行く。
そのために、擬等角写像、タイヒミュラーの定理等について扱う。
擬等角写像の扱いを身につける。
タイヒミュラーの定理について理解する。
タイヒミュラー空間に複素構造を導入したAhlforsの手法を理解する。
リーマン面、モジュライ空間、タイヒミュラー空間
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式で行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | タイヒミュラー空間 | 講義中に指示する。 |
第2回 | 擬等角写像 | |
第3回 | タイヒミュラー距離 | |
第4回 | タイヒミュラーモジュラー群 | |
第5回 | 正則二次微分 | |
第6回 | タイヒミュラーの定理 | |
第7回 | Ahlforsの手法I | |
第8回 | Ahlforsの手法II |
特になし
H. M. Farkas and I. Kra, Riemann surfaces, GTM 71, Springer-Verlag
今吉洋一、谷口雅彦、タイヒミュラー空間論、日本評論社
L. V. Ahlfors, The complex analytic structure of the space of closed Riemann surfaces. In Rolf Nevanlinna et. al., editor, Analytic Functions, pages 45-66. Princeton University Press, 1960.
レポート課題
なし