代数学は数学的対象のもつ演算規則を抽象化・一般化した理論である。本講義の主要なテーマは、演算規則に関する基本的な概念と性質、および整数や多項式の抽象化・一般化である可換な環とそのイデアル、剰余環等の概念と性質である。偶数回目の授業では前回の講義内容に関する問題演習を行い、概念の定着を図る。本講義は、直前に行われる「代数学概論第一」に続くものである。
本講義で学ぶ内容は代数学全体の基礎であるだけでなく、解析学や幾何学等、他の分野においても必須である。また、直感に頼らずに論証を行う事は、数学のみならず全ての数理系科学において基本的な態度である。本講義では、集合と写像の概念に基づいた厳密な論証を行い、数学における論理の進め方の典型例も学ぶ。
特に重要な概念である、環の公理、部分環、イデアル、剰余環、環の準同型、環の準同型定理、等を理解し、習熟する事。また、これらについての基本的な性質を自力で証明できる様になる事。
環、部分環、イデアル、剰余環、環の準同型、環の準同型定理
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
通常の講義形式による講義と問題演習形式の講義を交互に行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 環の公理、環の典型例、および公理から導かれる環の基本的性質 | 講義中に指示する。 |
第2回 | 環の公理、環の典型例、および公理から導かれる環の基本的性質に関する問題演習 | |
第3回 | 環の零元、逆元の基本的性質 | |
第4回 | 環の零元、逆元の基本的性質に関する問題演習 | |
第5回 | 部分環の定義、部分環の判定法、部分環の例 | |
第6回 | 部分環の定義、部分環の判定法、部分環の例に関する問題演習 | |
第7回 | 環の準同型とその基本的性質 | |
第8回 | 環の準同型とその基本的性質に関する問題演習 | |
第9回 | 環のイデアル | |
第10回 | 環のイデアルに関する問題演習 | |
第11回 | 剰余環、環の第一準同型定理 | |
第12回 | 剰余環、環の第一準同型定理に関する問題演習 | |
第13回 | 環の第二準同型定理、第三準同型定理 | |
第14回 | 環の第二準同型定理、第三準同型定理に関する問題演習 | |
第15回 | 理解度確認 |
特になし
堀田良之:代数入門-環と加群-,裳華房, 1987.
中島匠一:代数と数論の基礎,共立出版 2000.
高木貞治:代数学講義, 共立出版, 1965.
高木貞治:初等整数論講義, 共立出版, 1971.
アンドレ・ヴェイユ:初学者のための整数論(ちくま学芸文庫),筑摩書房,2010.
期末試験の点数, および演習における問題の解答状況により評価する. 詳細は講義中に指示する.
「線形代数学第一・演習」「線形代数学第二」「線形代数学演習第二」「代数学概論第一」を履修していることを前提とする。