本講義では産業革命期から20世紀後半までを対象に,西洋世界の技術史を検討する. とりわけ近代以降,技術の変化は歴史の展開に絶大な影響を与えてきた。蒸気船・鉄道・電信に代表される交通革命なくして19世紀の帝国主義はなく,核兵器の存在を抜きにして冷戦を語ることも不可能である.従来科学は技術とは別系統で発展してきたが,近代以降は国家や資本を介して技術との結びつきを急速に強め,技術は「科学技術」化していく.本講義では〈国家・資本を介した科学・技術の融合〉という視点から,近現代の技術史を概観していく.
【到達目標】過去の技術の発展と社会的背景の結びつきを理解するとともに,歴史的文脈の中で過去・現在の技術について分析する能力を養う.
1. 技術を幅広い視野の下で考察する力を養う
2. 世界史の中で技術が果たしてきた役割を理解する
産業革命(第一次,第二次),交通革命,科学技術,軍事技術
専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義形式で進めていきます.講義後にコメントを提出してもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 導入:産業革命概論 | 特に設けない |
第2回 | 繊維産業の歴史的意義:近代的産業経済の形成 | リーディング課題を指示する。 |
第3回 | 応用化学:塩素漂白から合成染料まで | リーディング課題を指示する。 |
第4回 | 機械工業:鉄・石炭・蒸気機関 | リーディング課題を指示する。 |
第5回 | 陸海交通輸送インフラの形成:道路・鉄道・蒸気船 | リーディング課題を指示する。 |
第6回 | 19世紀のグローバリゼーション:帝国の技術としての電気通信 | リーディング課題を指示する。 |
第7回 | 第二次産業革命概論 | リーディング課題を指示する。 |
第8回 | 電灯・電力システムの形成 | リーディング課題を指示する。 |
第9回 | 生産の「科学」化:標準化部品・互換性・科学的管理・大量生産 | リーディング課題を指示する。 |
第10回 | 動力輸送技術の転換:石油・内燃機関・自動車・航空技術 | リーディング課題を指示する。 |
第11回 | 総力戦時代の科学技術 (1) ハーバー・ボッシュ法と第一次大戦 | リーディング課題を指示する。 |
第12回 | 総力戦時代の科学技術 (2) マンハッタン計画と原爆開発 | リーディング課題を指示する。 |
第13回 | 冷戦とコンピュータ・インターネット: 第三次産業革命? | リーディング課題を指示する。 |
第14回 | 総括:環境としての科学技術 | 特に設けない |
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
Robert Friedel. A Culture of Improvement: Technology and the Western Millennium. (MIT Press 2007)
ルイス・マンフォード(生田勉訳)『技術と文明』(美術出版社 1972)
T. K. デリー,T. I. ウィリアムズ(平田寛・田中実訳)『技術文化史』(筑摩書房 1971)
Donald Cardwell, Wheels, Clocks and Rockets: A History of Technology (W. W. Norton & Company 1994)
Horn, Jeff, Leonard N. Rosenband, and Merritt Roe Smith, eds. Reconceptualizing the Industrial Revolution. (MIT Press 2010)
長谷川貴彦『産業革命』(岩波書店 2012)
その他,講義中に指示する.
毎回のフォーム提出(20%)と期末レポート(80%)で評価する. なお,レポートでChatGPTなどの対話型AIを使用する場合その旨を記載し,その正しさを文献情報を示して裏付けることが求められる.
特に設けない。