本講義では,マクスウェルの方程式の直接解法,電磁界の回折・散乱現象,アンテナを扱う。波動方程式の解の導出と解釈および電磁界の等価定理を説明し,続いて,円筒座標系での散乱とその解釈を扱う。さらに,アンテナの評価パラメータや基本的なアンテナの動作原理を説明する。講義とレポートを密接に組み合わせて,電磁界解析手法と現象理解,各種アンテナの動作原理を教授する。
電磁波特論は,電磁気学,波動工学,導波路工学の履修を受けて,電磁波の放射,散乱に関する深い解釈を与え,またその応用としていろいろなアンテナの放射原理について解説する。導波回路論,電気的モデリングとシミュレーション,高周波計測などの波動通信関係科目の高度な科目に関連している。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)マクスウェルの方程式から波動方程式の解が導出でき,その解の意味が理解できる。
2)電磁界の等価定理の意味が理解できる。
3)円筒座標系における電磁界の散乱問題が解ける。
4)電磁界の回折・散乱現象の意味が理解できる。
5)アンテナの指向性,利得,効率,偏波などのパラメータの意味が理解できる。
6)線状アンテナ,アレーアンテナ,開口アンテナ,マイクロストリップアンテナなどの各種アンテナの放射原理が理解できる。
波動方程式,等価定理,円筒座標系,回折・散乱,アンテナ
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の後に学習した事項をまとめるレポートを提出してもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 波源からの放射 -ベクトルポテンシャルを用いた導出 | ベクトルポテンシャルを用いた導出 |
第2回 | 波動方程式の解 -グリーンの定理を用いた導出 | 波動方程式の解の意味の説明 |
第3回 | 波動方程式の解の構成 | 波動方程式の解の構成の説明 |
第4回 | 電磁界の積分表現 -マクスウェルの方程式の直接積分 | 電磁界の積分表現の意味の説明 |
第5回 | 電磁界の等価定理 -電磁界の一意性定理を用いた証明 | 電磁界の等価定理の意味の説明 |
第6回 | 平面波伝搬における等価定理の理解 -仮想境界上等価電磁流による電磁界 | 平面波伝搬における等価定理適用の説明 |
第7回 | ダイポールアンテナ放射問題での等価定理の適用 | ダイポールアンテナ放射問題での等価定理適用の説明 |
第8回 | 理解度確認総合演習,講義内容の流れの説明 -第1回から第7回までの内容の演習形式による確認 | 第1回から第7回までの理解度確認と到達度自己評価 |
第9回 | 直角座標系での斉次解 | 直角座標系での斉次解の導出 |
第10回 | 短絡平行平板内電磁界の級数表現 | 短絡平行平板内電磁界の級数表現の導出 |
第11回 | 短絡平行平板内電磁界の積分表現 -級数表現との等価性 | 短絡平行平板内電磁界の積分表現と級数表現との等価性の導出 |
第12回 | 円筒座標系での斉次解 | 直角座標系での斉次解との比較 |
第13回 | 線電流による放射の円筒座標系での解析 -斉次解を用いた境界での電磁界不連続の表現 | 線電流による放射の導出 |
第14回 | 半平面による電磁界の散乱 -半平面による散乱電磁界の導出 | 半平面による散乱電磁界の導出 |
第15回 | 電磁界の回折現象 -半平面による電磁界の回折現象 | 半平面による電磁界の回折現象の説明 |
講義資料をOCW-iで配布
J.A.Stratton著「Electromagnetic Theory」(IEEE Press) ISBN: 978-0-470-13153-4
R.F.Harrington著「Time-Harmonic Electromagnetic Fields」(McGraw Hill) ISBN 978-0-471-20806-8
波動方程式の一般的解法に関する理解度を評価する。試験(80%),レポート(20%)で成績を評価する。
電磁気学第一(EEE.E201),電磁気学第二(EEE.E202),波動工学(EEE.E211),導波路工学および電波法(EEE.S301)を履修していること,または同等の知識があること。