本講義では弾性体中の波動伝搬と散乱に対する基礎理論と理論・数値解析方法について解説する.それらは土木工学分野における様々な応用があり,例えば,構造動力学,地震工学,超音波非破壊検査等である.振動・波動論の基礎を学ぶための1次元理論から出発し,高次元の弾性波動論までを講義する.その際に必要となる連続体力学の基礎についても講義する.
本講義のねらいは受講生に固体の振動・波動とその数値解析の基礎を教えることであり,音響波や電磁波といった他の波動現象への統一的なアプローチを示唆する.
本講義を履修することによって次の能力を修得する.
1. 波動の伝搬,反射,透過,分散,散乱などの基本的な波動現象を数学的手法を用いて説明できる.
2. 一次元波動に関する簡単な問題を解析的・数値的に解くことができる.
3. 二次元,三次元波動に関する波動現象を数値計算によって示すことができる.
4. 振動や弾性波動の工学的応用について説明できる.
波動伝搬,反射・透過,分散,散乱,積分表現,構造動力学,地震工学,超音波非破壊検査
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本講義は,主に講義形式で行われ,2つの部分に分けられる.第一部は,一次元波動の理論に関する部分であり,第二部は,二次元および三次元波動に関するものである.最初の一次元波動に関する講義の後に,学生の理解力を確認するために中間レポート課題を課す.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 一次元波動伝搬の基礎 | 一次元波動に対する基礎式の概念を説明することがきできるようになる. |
第2回 | 一次元波動の反射・透過 | 1次元波動の反射・透過の概念を説明でき,解析的に解くことができるようになる. |
第3回 | 自由振動と強制振動 | 自由・強制振動について説明でき,関連する問題を解析的に解けるようになる. |
第4回 | 基本解と積分表現 | 一次元波動に対する基本解と積分表現を説明できるようになる. |
第5回 | 一次元波動に対する数値シミュレーション | 一次元波動問題を有限要素法によって解く. |
第6回 | 一次元自由振動問題に対する数値シミュレーション | 一次元自由振動問題を有限要素法によって解く. |
第7回 | 一次元問題に対するプログラミング演習(中間レポート) | 一次元問題に対する有限要素解析プログラミングを実装する. |
第8回 | 二次元,三次元に対する動弾性学の基礎 | 二次元,三次元弾性体中の波動に対する基礎式の概念を説明することがきできるようになる. |
第9回 | 平面波の反射・透過 | 平面波とその反射・透過を説明できるようになる. |
第10回 | 表面波 | 表面波を説明でき,その音速を求められるようになる. |
第11回 | ガイド波 | ガイド波を説明でき,その分散曲線を求められるようになる. |
第12回 | 分散解析のための数値解法 | 有限要素法を用いてガイド波の分散解析を実施する. |
第13回 | 仮想仕事の原理と相反定理 | 仮想仕事の原理と相反定理を説明できるようになる. |
第14回 | 球面波と積分表現 | 球面波と積分表現を説明できるようになる. |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと.
特になし.
講義資料は適宜T2SCOLARにアップロードする.
参考書:
J. D. Achenbach: Wave Propagation in Elastic Solids, North-Holland, 1973.
L. W. Schmerr Jr.: Fundamentals of Ultrasonic Nondestructive Evaluation: A Modeling Approach 2nd ed., Springer Cham, 2014.
J. L. Rose: Ultrasonic Guided Waves in Solid Media, Cambridge University Press, 2014.
レポート課題100%(50%×2)
プログラミングの課題を出すため,数値解析基礎・演習(CVE.M301)および応用数値解析・演習(CVE.M302)を履修していること,あるいは,同等の知識を持っていること.