本講義では,誘電体に関する実験と触媒に関する実験を扱う.
誘電体に関する実験では,セラミックス材料の誘電率,電気伝導性などの物性評価に関する実験を行い,固体材料の電気的性質に関する基本的な物理とその実験法を理解した上で,これらに及ぼす固体の性質(結晶相・微構造・化学組成・密度等)との関係を,製造プロセスの工程条件と対応付けて理解する.
触媒に関する実験では,工業的に利用されている固体触媒について理解した上で,実験室にて再現可能な反応系にて実験し,結晶多型や微粉末の取扱手法について習熟した上で触媒反応と反応速度論について理解する.
【到達目標】 本講義では固体材料の電気的性質に関する基本的な物理を理解し,独創的な問題意識・企画力・実行力・表現力に富む有為な材料研究者となるための基礎を修得することを目的としている.
【テーマ】 本講義では,誘電体材料であるチタン酸バリウムセラミックスを作製後,その電気特性を評価する.元素置換によって生じる物理現象の変化を観察することで,結晶構造および化学組成から現象を理解する.これらを通して固体物理の基礎を修得する.触媒実験では,液相合成による酸化マンガンの多型作り分けを行い,微粒子の諸性質が触媒反応に及ぼす影響を評価し,反応速度論に関する解析手法を習熟する.なお,本講義は『セラミックス実験第二』と連携している.
バルクセラミックス,強誘電体,誘電率,電気伝導性,固体触媒
✔ 専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
4人または5人程度で構成されるグループ単位で実験を遂行する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 実験を行うための基礎講義 誘電体1:原料粉末の秤量・混合・仮焼 | 講師より機能性セラミックス材料に関する基礎的な講義を受け、本実験の内容・意義を理解する 秤量・混合・仮焼の実験手続きを学ぶ |
第2回 | 誘電体2:チタン酸バリウム仮焼粉の評価と造粒 | 結晶構造の評価方法と焼結助剤を用いた造粒について学ぶ |
第3回 | 誘電体3:チタン酸バリウム粉末の成形と焼成 | 金型成形、焼成の方法を学ぶ |
第4回 | 誘電体4:密度測定と電極形成 | 密度測定および電極形成方法について学ぶ |
第5回 | 誘電体5:格子定数と電気特性の評価 | チタン酸バリウムの結晶構造と電気特性の関係を理解する |
第6回 | 誘電体6:誘電率の温度依存性の測定 | チタン酸バリウムの相転移について理解する |
第7回 | 誘電体7:導電率の温度依存性の測定 | チタン酸バリウムの相転移について理解する |
第8回 | 触媒1:固体触媒の合成 | 液相法を用いた酸化マンガン微粉末の合成方法を学ぶ |
第9回 | 触媒2:固体触媒のキャラクタリゼーション | 酸化マンガン微粉末の結晶構造評価や熱分析手法を学ぶ |
第10回 | 触媒3:固体触媒の触媒反応 | 酸化マンガンによる過酸化水素水を分解する反応を用い、反応速度論について学ぶ |
第11回 | 追加実験1 | 誘電体・触媒に関する追加の実験を行う |
第12回 | 追加実験2 | 誘電体・触媒に関する追加の実験を行う |
第13回 | 追加実験3 | 誘電体・触媒に関する追加の実験を行う |
第14回 | 追加実験4 | 誘電体・触媒に関する追加の実験を行う |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね50分を目安に行うこと.
テキストはT2SCHOLA経由で配布する.
参考書:『セラミックス基礎講座1セラミックス実験』 東京工業大学無機材料工学科編 内田老鶴圃
この他に,補足用の講義資料も配布する.
すべての講義・実験に出席し,提示された課題を遂行すること.課題は指定の様式・内容を伴ったものを提出し受理されること.以上の用件を満たせば、提出されたレポートの内容,実験の取り組み態度などにより総合的に評価する.
1・2年次にセラミックスに関する基礎知識を習得していることが望ましい。