本講義では,電磁気学第一での静電気に引き続き,静磁気を学習し,その後,時間的に変化する電気と磁気の関係を扱う。磁束密度と磁性体を説明し,続いて,電磁誘導,磁気エネルギーを扱う。さらに変位電流を導入した拡張されたアンペアの法則について説明する。講義と演習を密接に組み合わせて,電磁気学の基礎を習得する。
電磁気学は波動工学や導波路工学などの波動関係科目,電気機器学やパワーエレクトロニクスなどの電力関係科目,電気回路などの回路関係科目,半導体物性や電子デバイスなどの物性・デバイス関係科目の電気電子系の幅広い学問分野の基礎をなしている。
本講義を履修することによって,次の能力を修得する。
1)電流により発生する力を理解し、説明できる。 2)磁束密度の方程式を理解し、意味を説明できる。
3) 磁性体や磁気回路についてその振る舞いを説明できる。 4)電磁誘導の法則とローレンツ力の意味を説明できる。
5)インダクタンスと磁気エネルギーの意味を説明できる。 6)変位電流と拡張されたアンペアの法則の意味を説明できる。
アンペアの法則,磁性体,電磁誘導,磁気エネルギー,変位電流
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の講義の前に予習事項をまとめるレポートを提出してもらい、講義の中で全員で確認します。また,講義の最後には,その日の教授内容に関する演習問題に取り組んでもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | イントロダクション、電流により働く力 | 電流により磁束密度が発生するイメージを持つ |
第2回 | ビオサバールの法則 -任意の電流がつくる磁束密度 | 任意の形状の電流がつくる磁束密度の説明 |
第3回 | アンペアの法則と磁束密度の基本方程式 -ビオサバールの法則からの展開 | 電流と磁束密度の関係方程式の導出 |
第4回 | ベクトルポテンシャルと磁束 -方向をもつポテンシャルの定義と磁束の表現への適用 | スカラポテンシャルとベクトルポテンシャルの定義の違いの説明 |
第5回 | 磁性体 -物質が存在した場合の磁束の振る舞い | 真空と物質が存在した場合の磁束密度やアンペアの法則の違いの説明 |
第6回 | 磁化と磁界、境界条件 -磁化の定義とそれを利用した式の書き換え | 磁化の定義が説明でき、物質の境界での磁束密度の振る舞いの説明 |
第7回 | 磁気回路 -電気回路のように磁性体を表す | 磁気回路と電気回路の比較 |
第8回 | 理解度確認総合演習,講義内容の流れの説明 -第1回から第7回までの内容の演習形式による確認 | 第1回から第7回までの理解度確認と到達度自己評価 |
第9回 | 電磁誘導 -ファラデーの電磁誘導の法則 | 電磁誘導の法則の意味の説明 |
第10回 | ローレンツ力 -コイルが移動する場合の電磁誘導の法則 | コイルが移動する場合の電磁誘導の法則の説明 |
第11回 | インダクタンス -自己インダクタンスと相互インダクタンス | インダクタンスの意味の説明 |
第12回 | インダクタンスの蓄えるエネルギー -コイルに与えた仕事量 | インダクタンスの蓄えるエネルギーの意味の説明 |
第13回 | 磁気エネルギー -空間の磁束密度が蓄えるエネルギー | 電気エネルギーとの対応の説明 |
第14回 | 磁気による仕事とエネルギー -物体を移動させた場合の力学的な仕事量と磁気エネルギーの関係 | 固定コイルと移動ループの間での仕事量とエネルギーの変化の説明 |
第15回 | 変位電流 -拡張されたアンペアの法則 | 変位電流の意味の説明 |
浅田雅洋,平野拓一著『電磁気学』(培風館) ISBN-13: 978-4563069810
末松安晴著『電磁気学』(共立出版)ISBN-13: 978-4320084179
後藤尚久著『電磁気学がわかる本』(オーム社) ISBN-13: 978-4274208539
磁束密度,磁性体,電磁誘導,磁気エネルギー,電磁界の法則に関する理解度を評価する。理解度確認のための中間試験および期末試験(80%),毎回のレポートおよび演習(20%)で成績を評価する。
電磁気学第一を履修していること,または同等の知識があること。
廣川: hirokawa.j.aa[at]m.titech.ac.jp
西山:nishiyama.n.aa[at]m.titech.ac.jp
廣川:メールで事前予約すること。
西山:可能な限りいつでも対応するが、不在のこともあるのでメールで事前予約すること。