2021年度 合成生物学   Synthetic Biology

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開講元
生命理工学系
担当教員名
松浦 友亮  藤島 皓介  相澤 康則 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
火1-2(S611)  金1-2(S611)  
クラス
-
科目コード
LST.A356
単位数
2
開講年度
2021年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2021年5月20日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

近年のバイオテクノロジーの発展により、生命システムを人工的にデザイン・設計することが可能となってきた。この分野の研究は合成生物学と呼ばれている。本講義では、合成生物学分野における基礎的な技術とそれが、生命システムのどのような理解につながったのか、どのように社会実装されているかを学ぶ。

到達目標

合成生物学分野の基本的な概念、基礎的な技術及びその重要性について論じることができるようになる。すなわち、創ることでわかる、わかって社会実装に資する生命システム創ることの重要性を実例を挙げ論じることができるようになる。

キーワード

ゲノム編集技術、ゲノム合成、非天然アミノ酸・核酸、人工細胞、進化工学、バイオテクノロジー

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義は3人の教員が担当する。Zoomによるライブ配信で行う。講義で必要な資料はあらかじめOCWからダウンロードして講義に臨むこと。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 合成生物学:生物を合成する学問 ・合成生物学分野の全体概要 ・従来の学問領域との関連性 ・いくつかの参考図書を紹介 ・倫理的な観点からの合成生物学 ・講義の進め方及び概要 合成生物学の概要を説明できる。
第2回 DNA工学 ・ゲノム構造の多様性(プラズミド、染色体) ・バイオデザインプロセスにおけるDNA工学 ・遺伝子パーツ、遺伝子組換え、遺伝子合成 ・ゲノム改変、ゲノム合成、ゲノム構築 遺伝子やゲノムを、その生物学的理解に基づいて工学的に活用する方法について説明できる。(Chap 3)
第3回 細胞機能化のための異種遺伝子導入 ・細胞への遺伝子導入による物質生産 ・BGC(Biosynthetic gene cluster) ・遺伝子の細胞内導入法 ・カルテノイド、抗生物質の生合成 ・がん細胞治療用の機能性ヒト細胞 異なる生物種の遺伝子あるいは遺伝子クラスターを細胞に導入することで、細胞に新しい機能を付与する技術について説明できる。(Chap 5, 6)
第4回 細胞機能化のための宿主ゲノム改変 ・代謝パスウェイ設計と実験室内適用進化 ・有用微生物の同定 ・化学合成vs生物合成(アクリルアミド合成) ・代謝パスウェイの改良事例(アミノ酸生合成菌の発見と改良) ・人工ゲノム酵母の活用 ・ミニマムゲノム 自然界から探索同定した特殊な微生物を活用したり、すでに汎用されている微生物を改変あるいは合成することで、細胞に新しい機能を付与する技術について説明できる。(Chap 5, 6)
第5回 代謝経路を改変する合成生物学 ・第二回のゲノム工学のおさらい ・代謝経路を改変した人工代謝経路の事例を紹介 ・産業社会におけるアプリケーションの説明 ・人工微生物と倫理問題 代謝経路を合成生物学で改変する手法を説明できる。(Chap 7)
第6回 転写制御により細胞を操る ・転写の複雑性を紹介 ・制御方法を理解 ・応用例を紹介 転写を制御する手法やその応用について説明できる。(Chap 1)
第7回 働くRNA、DNA分子 ・DNAやRNA分子の本来の役割を改めて紹介 ・DNA、RNAアプタマーの紹介 ・リボスイッチの紹介 ・RNAやDNAが情報分子としてだけなく機能分子として働く" RNA、DNA断片で生物を制御することを説明できる。(Chap 2)
第8回 人工生命・人工細胞を創る ・ボトムアップ生物学の紹介 ・人工細胞とは ・人工細胞でできること、わかること ・社会実装の実例 部品から人工生命、人工細胞を創る研究の概要を説明できる。(Chap 10)
第9回 非天然アミノ酸でタンパク質を創る ・非天然アミノ酸、非天然核酸の紹介 ・非天然アミノ酸、非天然核酸を用いる意義 ・非天然のモノマー分子の調製方法 ・非天然のモノマー分子のポリマー化 ・社会実装の実例 非天然アミノ酸も利用することができることを説明できる。(Chap 4)(5,6章)
第10回 分子モデリングでタンパク質をデザインする ・分子モデリング全般について説明 ・Alphafoldなど、機械学習を用いた構造予測も紹介 ・デザインされたタンパク質の実験的検証事例を紹介 計算機で分子をデザインできることを説明できる(Chap 8)
第11回 進化分子工学でタンパク質をデザインする ・進化分子工学の全体概要 ・手法の比較と応用事例の紹介 ・生命の起源に関連した研究を紹介 進化分子工学とはなにかを説明できる。(Chap 8)
第12回 iGEM:学生が競う合成生物学の世界規模の大会 ・iGEM設立の背景及び開催内容について ・大会の実施内容 ・代表的なチームの成果や社会実装など ・東工大チームの紹介 iGEM設立の背景と開催内容、代表的なチームの成果、東工大の活動を説明できる。(Chap9, 14)
第13回 「生命とは何か? 〜造る生物学と倫理のその先〜」 ・生命とは何か?という問いに対する自然科学と人文科学のアプローチの違いと共通性について議論 ・合成生物学に対する宗教的、倫理的な側面に関して学生も含めたグループワークを行う。 自然科学と人文科学それぞれの切り口で"生命とは何か?"を多面的に考える
第14回 合成生物学の今後+期末試験 筆記試験を対面で行う。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

配付資料

参考書、講義資料等

講義ごとに配布する。
Synthetic Biology, (Springer International Publishing, Ediotrs, Anton Glieder, Christian P. Kubicek , Diethard Mattanovich , Birgit Wiltschi and Michael Sauer)

成績評価の基準及び方法

教員が講義の都度、課題を課す。加えて、期末試験を対面で行う。課題、期末試験をもとに成績を評価する。

関連する科目

  • LST.A203 : 生物化学第一
  • LST.A218 : 生物化学第二
  • LST.A208 : 分子生物学第一
  • LST.A213 : 分子生物学第二
  • LST.A248 : 遺伝学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

生物に関する基礎知識を有していることが望ましいが、必須ではない。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

松浦(matsuura_tomoaki[at]elsi.jp)
相澤(yaizawa[at]bio.titech.ac.jp)
藤島(fuji[at]elsi.jp)

オフィスアワー

教員に事前にメールで連絡を取ること

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