力学基礎1に引き続き、本講義では加速度運動をする座標系での運動や、質点系(相互作用をする質点の集り)と剛体(質点間の距離が一定の質点系)の力学を講義する。
力学は自然を理解するための重要な学問である。また、専門コースでの理学、工学、生命科学を学ぶ上での必須の基礎学問である。本講義では力学基礎1で修得した質点の力学を基に、加速度運動をする座標系での運動を学ぶ。また、質点系の力学を学び、これを基に剛体の運動とつり合いを学ぶことで、未知の力学問題を解く能力を養う。
本講義を履修することにより、以下の知識と能力を修得する。
1) 加速度運動をする座標系での慣性力(コリオリ力、遠心力)の概念を正しく理解し、数学的に表現できる。
2) 質点系の運動量、角運動量、エネルギーなどの概念、剛体の質量中心、慣性モーメントをなどの概念を正しく理解し、数学的に表現できる。
3) 剛体の運動とつり合いを正しく理解し、実際の力学問題に応用できる。
4) 方程式で表された力学問題の数学的解を求めることができ、数学的解が意味する物理を説明できる。
座標変換、慣性力、コリオリ力、遠心力、相対座標、換算質量、重心、運動量、角運動量、エネルギー、剛体、つり合い、慣性モーメント
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
各講義の2/3は基礎的内容について、残る1/3は発展的応用的内容についての解説に充てる。講義内容の確実な理解と応用力を養うために、講義内容に関連した演習問題を物理学演習第一で出題する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 座標変換と慣性力(並進、回転、慣性力、遠心力、コリオリ力) | 回転する座標系への座標変換を説明し、遠心力とコリオリ力を導出せよ。 |
第2回 | 質点系の運動法則(運動量保存則、角運動量保存則、重心) | 質点系の運動量保存則と角運動量保存則を説明せよ。 |
第3回 | 2質点の運動(衝突、相対運動、換算質量) | 2質点の運動を記述し、重心運動と相対運動に分解できることを示せ。 |
第4回 | 剛体の力学の基礎(剛体の定義、力のモーメント、剛体の運動方程式) | 剛体の定義を説明し、その運動方程式を導け。 |
第5回 | 剛体の運動(慣性モーメント、剛体振り子、転がり運動) | 慣性モーメントの概念を説明し、剛体の振り子運動と転がり運動を解け。 |
第6回 | 慣性モーメントの計算方法(平行軸の定理、平板の定理) | 代表的な形の剛体について、慣性モーメントを求めよ。 |
第7回 | 剛体の回転運動(一般の回転運動、歳差運動) | 剛体の回転運動の記述方法を説明し、歳差運動を解け。 |
第8回 | 力学と熱・波動の関係、エネルギーの利用 | 分子運動からどのように熱や波動が生じるか説明せよ。 |
川村清、裳華房テキストシリーズ「力学」、裳華房
・藤原邦男、「物理学序論としての力学」、東京大学出版会
・田崎晴明、「数学:物理を学び楽しむために」 http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/mathbook
到達度を期末試験により評価する。
履修の条件を設けない。