世界的な社会問題の解決に貢献できるグローバルな人格の形成のためには豊かな国際経験を積みながら多文化を理解しあえる真摯な姿勢を身に着けることが必要である。それは、「多様性」の理念が現代において、私達の生活や学術・専門的分野の場においても、ますます重要になっていることに起因する。多文化に敬意を示し、コミュニケーション力を身に着け、持続可能なコミュニティをつくるための第一歩とは、個々が状況を細やかに見聞きし、建設的な考えを表現し協働できるようになることである。この授業の特徴的なねらいは、「アートと国際経験」の視点を導入し、国籍や出身地域、使用言語、文化的背景を異にする学生同士が互いに理解し合い、より友好的な関係を築けるようになることである。国際経験豊かな陶芸家・デザイン研究者をゲスト講師として迎え、陶芸作品の制作に挑戦し、言葉の壁を乗り越えた多様な表現や多文化相互理解を試みる。
本講義では特に陶芸や陶磁器に焦点をあて、学術的な題材、あるいは、アート制作物として向き合う。多文化理解の考え方を身につけるため、東京工業大学の豊かな陶芸の歴史を紐解き、20世紀から今日までの国内外での工業の発展や陶磁器の文化の再生との関わりを学ぶ。 講義は理論と実践の両方のアプローチを組み合わせて、ディスカッションや博物館訪問の時間も充分にとりながら進めていく。使用言語の違いの影響をなるべく最小限に留め、芸術の視座の素養を身に着けながら、授業の最終回には論文執筆時や学会発表、イノベーティブな商品開発の試作時など科学技術にも通用する視覚的なコミュニケーション力を磨くところに帰着する。
1.東工大の留学生をはじめ、多様性をもつ人々との関係性を築くことに積極的な姿勢を持てるようになる。
2.アートによる文化理解の考え方を深めると共に、理工系にも通じる、より普遍的なビジュアルコミュニケーション力を磨く。
3. 陶芸の材料や制作過程について、構想や手法の文化的な多様性をふくめ基本的な知識を得る。
4.制作活動を通して、多文化環境の下での協働作業を経験できる。
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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授業を担当するゲスト講師は、国際経験豊かな陶芸家でありデザインの研究者である。 |
多文化理解、アート、陶芸、陶磁器の研究、留学生、国際経験、ワークショップ
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
全7回で行われる授業は、自己紹介と講師の活動紹介、ワークショップ(アート作品の制作、チームによる話し合い)、制作物の公開発表を含む。グループワークでの学生同士のコミュニケーションや外部講師との連絡は、授業全体を通して担当教員が行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 12月6日(水)午後3:25~午後5:05 第1回 アートと陶芸、国際経験についての講義と自己紹介。陶芸の素材にまつわる学際的な視座と制作方法についてのレクチャー。 | レポート課題「あなたにとってのアート、あなたにとっての国際経験、そしてあなたにとっての多文化理解について」 |
第2回 | 12月13日(水)午後3:25~午後5:05 第2回 東京工業大学博物館を見学し多文化理解について理解。 本学卒業生の陶芸作品を鑑賞し、東工大が伝統産業の近代化に果たした役割とその系譜について理解を深める。 | 文献を読んでくること。(T2SCHOLA参照のこと。) 第1回講義を受講して、エッセイを書いてくる。 |
第3回 | 12月20日(水)午後3:25~午後5:05 第3回 セミナー・陶芸作品制作ワークショップ 陶芸の材料と陶芸の文化の多様性について。 | レポート課題(東京工業大学博物館を見学して学んだことにまつわる論考) |
第4回 | 1月10日(水)午後3:25~午後5:05 第4回 セミナー・陶芸作品制作ワークショップ 日本国内外の歴史における陶磁器文化の再生について学び、作品制作。 | 文献を読んでくること。第2回講義を受講して、エッセイを書いてくる。 |
第5回 | 1月17日(水)午後3:25~午後5:05 第5回 セミナー・陶芸作品制作ワークショップ 茶碗の絵付けに取り組む。 | 制作課題。第4回講義を受講して、エッセイを書いてくる。 |
第6回 | 1月24日(水)午後3:25~午後5:05 第6回 セミナー・陶芸作品制作ワークショップ(現代美術家の宮永愛子氏による講義を予定) | 制作課題。第5回講義を受講して、エッセイを書いてくる。 |
第7回 | 1月31日(水)午後3:25~午後5:05 第7回 成果発表と講評 | 本講義の受講についての振り返りレポート |
講師が適宜、指示・配布する。
講師が適宜、指示・配布する。
グループ・ワーク等における取り組みの様子と、最終発表の内容をみて総合的に評価を行う。最終発表の際には、グループ内での個々の役割と貢献部分を必ず明確化すること。
授業は対面で教室にて実施します。履修者は15名程度とします。言語能力を問わず、国際交流に興味のある学生の積極的な参加を歓迎します。
※ 履修登録期限:授業開始一週間前までに必ず履修登録を済ませること。
※2 本科目の履修登録者は履修登録受付開始から数日で定員に達し、想定をうわまわるほど履修希望者多数だったためエッセイ提出による受講生の選抜をしました。以上の理由により、履修者申し込み受付を完了しております。