この授業では、留学生と国内学生が東北地方を訪問し、農業体験と震災学習を通じて地域やクラスメートと交流しながら、日本の歴史や風土・文化を理解し、現在の科学技術分野に期待されていることを考察し議論する。宮城県角田市で行われる農業体験では、大都市周辺とは異なるような日本の原風景のもと伝統的な農業の様式に触れる。震災学習では、2011年3月の東日本大震災で被災した地域の遺構や記念館、復興に取り組む研究施設を見学し、自然災害の影響と防災、エネルギー問題について見識を深める。(2022年度の授業における東北研修ツアーではコロナ予防対策を鑑み、角田市のホームステイを次年度以降実施の取り組みとし、代わりに大学近郊の古民家園を訪問して日本の伝統家屋の風景を見学する他、都心部地域の散策にて日本の政治経済と被災地復興との関わりを考察する。)
この授業を通して受講学生は、
1.宮城県角田市における農業体験とホームステイ体験を通じて、地域社会特有の伝統文化や生活課題等を発見し、日本社会の多様性を学ぶことができる。(※2022年度はコロナ対策予防のため東北訪問時の農業体験とホームステイ体験は実施せず、次年度以降の授業で実施に持ち越し)
2.福島原発関連施設や津波被害地域の見学を通して、震災や防災をめぐる知識を実地で深めることができる。
3.国内学生と留学生の混成メンバーにより行われる1泊2日の多文化共修において、割り当てをされた学士課程生の小班をまとめることを通して、リーダーシップの方法を学ぶことができる。
4.東北地方のより良い未来に資するための、科学技術に基づいた提案内容を考えることができる。
東北地方、日本の農村社会、震災、防災、多文化共修
専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
定員が設けられているため、選抜された学生のみが履修可能である。ポータルから追加申告によって履修申告を行う。詳しくは下記の「履修の条件」を確認すること。授業は2月27日(月)から3月3日(金)まで実施する。2022年度の授業内容は、担当教員による本科目趣旨説明、復興学や東北についての講義とグループワークに加え、日本の政治経済を学ぶための都心部地域散策や、筑波宇宙センターと川崎市立日本民家園の訪問、そして東北研修旅行を予定している。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 2月27日(月) 9:30 本科目趣旨説明(山浦弘)、参加者自己紹介、班作り 10:00 筑波宇宙センター見学バスツアー出発 17:00 大岡山キャンパスへツアーバス到着 | ガイダンスで説明する旅程や本科目趣旨を理解すること。筑波宇宙センター訪問時、国際宇宙ステーションで撮影された地球全体の姿から空や自然現象に思いを馳せるとともに、科学技術における国際協力を学ぶ。 |
第2回 | 2月28日(火) 9:30 復興学についての講義(高橋秀治) 10:30 グループワーク「エンジニアリングが復興へ貢献できること」 11:00 東北地域についての講義(川島佐保) 11:30 グループワーク「東北地方で学びたいこと」 昼食休憩 13:30 川崎市立日本民家園 | 東北地域の歴史や文化、角田市を例とした農業の様子とともに、エンジニアリングの視点から東日本大震災後の復興への取り組みについて学ぶ。グループワークでは訪問先施設や文化、地理等について班ごとに発表し、参加者全員で知識を共有する。発表では履修者一人一人の役割分担を明確にすること。今年度はホームステイの代わりに大学近隣の日本の民家園を訪問する。 |
第3回 | 3月1日(水) 9:30 東京都心部散策と被災地復興 (永田町周辺、国会議事堂、最高裁、銀座、皇居、東京駅鉄道、日本橋道路交通、日銀、三越前、秋葉原を訪問) 14:30 東北研修準備 | 日本の政治経済について理解を深め、東日本大震災などの被災地復興との関わりを考察・議論する。 |
第4回 | 3月2日(木) 8:00 東北研修へ大岡山キャンパスから出発 14:00 福島県双葉郡の廃炉資料館を訪問 | 訪れた各施設の学習内容を記録し、廃炉や防災、事故予防のための安全性への取り組みについて考察すること。 |
第5回 | 3月2日(木) 15:30 東北研修 東日本大震災・原子力災害伝承館を訪問 | 訪れた各施設の学習内容を記録すること。東日本大震災の被災地を訪れて考察したことをまとめておくこと |
第6回 | 3月3日(金) 東北研修2日目: 福島原発関連施設訪問と震災学習 Jヴィレッジ、JAEA楢葉遠隔技術開発センターを訪問 | 訪れた各施設の学習内容を記録すること。復興と遠隔技術開発について考察しまとめておくこと。 |
第7回 | 3月3日(金) 東北研修2日目: 福島原発関連施設訪問と震災学習のまとめ グループ発表と個人レポート | 1泊2日の東北共修合宿で学んだ内容を各班で報告すること。履修者個人でも期限内にレポートを提出することが求められる。 |
特に指定しない。
担当教員が必要に応じて教材を配布する予定。
シラバスに挙げた全日程に参加することが合格の条件。その上で、事前学習20%、最終報告40%、個人レポート40%の配分で評価を行う。
本コースは定員があるため、選抜された履修者のみポータルの「追加申告」によって登録すること。募集要項の詳細は、今年度のコロナ予防対策を鑑み1月に公開する。履修希望者には事前募集期限内に『この講義で学びたいこと』を題材としたエッセイを書いてもらう予定である。事前募集締め切り後には追加申告を受け付けない。東北研修の宿泊費と交通費は大学からの補助があるが、都内の交通費と食費および旅行保険は実費負担となる可能性がある。