2019年度2Q→3Qに変更予定 10月2日開始
昆虫学の基礎をきづいたファーブルは『昆虫記』のなかで、観察的なサイエンスの目と彼が愛した詩や文学の目を同時に使いながら、昆虫の生態系を発見しました。そこでは、サイエンスとアートが無理なく「融合」し、わたしたちが知らない昆虫の驚異の世界が記述されました。今回の演習では、まず、アートの感受性、発想、記述法という「アートシンキング」の考えを紹介します。つづいてアートとサイエンスが連動する部分、つまりイノベーションや新しいシステム構築に関わる「独創性」(Originality)、さらにサイエンスがわたしたちの生活世界とどう連関するか、その「方向性」(Future direction)を理解していきます。
理工学系のためのアートシンキングを理解します。アートシンキングを通して、サイエンス&アートのベーシックな力の基礎をつけます。テクノロジー万能でもなく、テクノロジー否定でもない、テクノロジーとアートが共存した、これからの思考を考えます。
アートシンキング、オリジナリティ、アジャイル(デッサン)、ディレクション、ライティング
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
講義→ワークショップ(ディスカッション形式)。鉛筆、ノート、パソコン使用します。
アートの素養は必要ありません。うまい、へたなどは一切問いません。のびのび思い切りやること、いやなことは一切やらなくてもよい、これが演習の心構えです。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 第1回 アートシンキングとは? アートは自己表現か?アートとアーツはどう違うのか?アーツとリバラルアーツはどう違うのか?アートはコミュニケーションか? アートにまつわるさまざまな誤解を取り除きながら、アートの歴史、アートシンキングの着眼点、発想を前半で講義。後半は絵画、写真、インスタレーション、建築、自然風景を見ながら、フリーディスカッション。 | 歴史、見方、発想を養う |
第2回 | 第2回 アートシンキングのデッサン デッサンと自由作文を組み合わせて思考するフランスの「フレネ教育」をベースに、アートシンキングの実践方法を講義。 後半、大学におけるみなさんの日々の研究課題を紹介してもらい、そのあとワークショップルームの外にでます。歩きながら各自、印象にのこる風景の細部(花でも、研究室の器具でもなんでも)をデッサンしてもらい、あとでフリーディスカッションします。 歩きながら考える力、デッサン。 | 歩きながら考える力、デッサン、独創性 |
第3回 | デッサンからライティング(書く)にうつります。この演習では、うまく書くことを目的にしません。未消化でもかまいませんから「独創性」(Originality)と「方向性」(Future direction)の発見を目指します。エッセイがどうしても苦手な人は、デッサンと説明だけでも可。 「あなたの研究テーマと、それを取り巻く世界」あるいは「テクノロジーと風景」をテーマに作品(エッセイなど)をつくります。 | 書くことの意味の理解、表現 |
特になし
基礎文献: 津田広志『リ・クリエイティブ表現術』(新水社)
参考:
ファーブル『ファーブル昆虫記』(以下、原著1879年)岩波文庫 ・寺田寅彦『柿の種』(1933年)岩波文庫
セレスタン・フレネ『言語の自然な学び方』(1968年)太郎次郎社エディタス ・森田真生『数学する身体』(2015年)新潮文庫
Amy Whitaker “ART THINKING”, 2016, HarperCollins Publisher Ltd. ・郡司ペギオ幸夫『天然知能』(2019年)講談社
その他 アートシンキングの延長にあると予想されるプロジェクト紹介
杉本博司(現代美術家) 新素材研究所 http://www.shinsozai.com/#
銀座メゾンエルメス https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/
授業での発言と提出物
特になし
2019は2Qでなく3Qに開講します