今、アートとデザインは、社会においてホットスポットです。アートは、たんなる自己表現ではなく、どう世界を表現していくか、大きな挑戦をしています。デザインは、意匠だけでなくさまざまな行政や企業の問題解決をする思考ツールです。この両方は、これからの都市や地域をつくりかえる大きな力となるでしょう。アート&デザインの力。この演習では、アート&デザインの基礎的発想を日本と世界の事例をもとに、身につけていきます。
今期のテーマは「ファッション&ウェアラブル」。本来、ひとは生まれたとき裸です。私たちは、服をまとい、さまざまなウェアナブルを(古くはメガネ、時計など)つけて暮らします。「ファッション&ウェアナブル」。それは機能面(防寒、安全、利便など)と文化側面(個性、モード、民族性など)の両面を持ちます。人間が身にまとう、しなやかな「小さな建築物」であり、人間と環境のインターフェイスなのです。
10年後の「ファッション&ウェアラブル」の世界を考えます。素材、化学、情報、生命科学、建築、宇宙科学、システム制御などから機能面をささえ、アートやデザインなどの文化的側面からも成り立つ、この「小さな建築物」の未来を考えます。そのことは、今後の文化産業、また注目をあつめつつある「アート&デザイン」を考える上で重要な機会となります。テクノロジーとアート・デザインが融合し、さらに産業として成立する「先端」の構想力を身につけましょう。
まず「ファッション&ウェアラブル」の見方や語りを学びます。なかなかふだん言葉にできない対象です。どうしたら言葉で語ることができるのか。そのために文化表象を解読する「記号学」の基礎を習得し、個人目線でどう読むかを学びます。
次に、企業に入ったときに、企業目線から見た「見方・語り」とはどのようなものでしょうか。昨今重視されています「サービスデザイン」を紹介します。ビジネスでの発想を習得しましょう。
「記号学」(個人目線)、「サービスデザイン」(ビジネス目線)の基礎を学び、「10年後のファッション&ウェアラブルの世界」の具体的一例をプレゼン発表してもらいます。
アート デザイン ファッション ウェアラブル コミュニティ
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
授業は、講義・ディスカッションを間欠なく行います。教師と学生はフラットな関係で、距離を縮め、集団で思考します。わからないときがあれば「パス」と言ってください。まちがい、恥ずかしいなどは、まったく気にしないようにしてください。本質に向かいあうことが重要で、そのためには逃げないで集中、リラックス、楽しむことを学びましょう。講師は、津田、大崎とも企業現場で働いており、現場の知をどんどんと紹介していきます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 第1回 ファッション・ウェアラブル 理系のための記号学 <記号学の練習> スイスのソシュールによって考えらえた言語学・記号学の基礎を学びながら、「ファッション&ウェアナブル」を考えていきます。ランガージュ(言語活動、言語行為)を基本に、ラング・パロール、シニフィエ・シニフィアン、ディノテーション・コノテーション、サンタグム・パラディグムなど基本的な記号の意味を理解し、読みをマスターします。アート、写真、デザイン、広告などに見られる、「ファッション・ウェアラブル」を記号的に誰もが読めるようにします。 <脱・記号学の練習> コンテキスト転換、対象性から非対称性へ 偶然性の導入など、記号の読みではおさまらない動きの重要性も理解していきます。 | 歴史、着眼点、鑑賞の仕方、フリーディスカッション |
第2回 | 第2回 ファッション・ウェアナブル 理系のためのサービスデザイン もし、あなたが企業で働いたとき、「ファッション・ウェアラブル」はどのように見えるでしょうか。ここではファッション業界ではなく、企業一般で働く時とします。個人の目とは違う視点やビジネスルールが入ります。今、注目をあつめる「サービスデザイン」の考え方を紹介しながら、ビジネスの視点から「ファッション&ウェアラブル」を読み、かつ考えていきます。 <サービスデザインの練習> ファッション・ウェアナブルのビジネス化について、サービスデザインの視座から思考していきます。ファッション・ウェアナブルの生活環境や市場における「価値」は何か。その「価値」を企業体で共創していくエコシステムとは何かをワークショップ形式で思考していきます。 | ゲスト講師 ゲスト講師 大崎優(株式会社コンセント サービスデザイナー 同社取締役) |
第3回 | 10年後の日本、あなたが考えるファッション・ウェアラブル 1例を発表してもらいます。 | 発表と議論 |
特になし
津田広志『リ・クリエイティブ表現術』(新水社)
授業の中の発言、プレゼテーションで評価となります。
特になし