本科目は、人生におけるキャリアの節目での意思決定のための手順(①自分を知る②(職業)社会を知る③選択の意思決定を行う)を、直近の就職活動を事例としながら扱います。終身雇用を前提とした日本的雇用システムは大きな変化の時期を迎えています。「働き方」が従来に比べて圧倒的に多様化する中で、働く個人はキャリアの決定権を組織に委ねることはできなくなり、自律的にキャリアをデザインし切り拓いていく能力が生涯にわたって求められるようになりました。東工大卒業生のキャリアは、個人としての幸せの追求と同時に、高度な理工系バックグラウンドを世界のさまざまな課題解決のためにリーダーシップを発揮しながら活かし続けていくものであることが求められます。本科目は、キャリアデザインの一般論にとどまらず、高度な専門能力を武器にしつつ、コミュニケーションやリーダーシップなどの力を同時に発揮して活躍する高度専門理工系人材のキャリアデザインの特徴に特に配慮した授業内容になっています。
本科目のねらいは、2つあります。1つは、受講生が狭義の職業キャリアのみならずライフキャリアという観点でも将来のキャリアを描く技術を身につけることです。2つめは、受講生が東工大で学んだ各種の知識、能力が仕事や社会のどのような場面でどのように具体的に役に立つのか体系的に整理し、相手の状況に応じて効果的に発信できるようになることです。これらの目的を達成するため、毎回の授業で、グループワーク、個人演習、ロールプレイ等の演習を取り入れます。
本科目を履修することによって以下の能力を習得する。
1)自分をよりよく知る
2)自分を取り巻く社会、社会のニーズ、自分がとり得る選択肢についてよりよく知る
3)自分にとってより良いキャリアの選択肢を見つけ、卒業後のキャリアデザインを描くことができる。
4)高度理工系人材のキャリアの特徴について理解する。
5)1)~4)について人に効果的に伝えることができる。
キャリアデザイン、キャリア、就職活動、専門職のキャリア、理工系人材のキャリア
専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回の授業は、講義に加えて、グループディスカッション、グループワーク、個人演習、ロールプレイのいずれかを実施します。
毎回演習を実施するので、1クラス50名~70名(各クオーターごとに、教室の収容人数に応じて決定)で履修制限(制限人数を超える履修希望者がいる場合抽選)を行います。日本語で授業を行います。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | オリエンテーション、キャリアデザインとは、仕事を取り巻く環境 | ・キャリア、キャリアデザインという概念を理解する。 ・変化する日本の労働市場についていくつかの統計を示しながら説明できる。 |
第2回 | 東工大生の進路、先輩の進路、理工系のキャリア①(ゲスト講演) ・東工大の先輩達の進路、キャリアを学び、理工系、東工大生としてどのようなキャリアの選択肢があるのかを理解する。 ・複数のくらまえアドバイザーによる講演 | ・東工大の先輩達の進路選択、キャリアの特徴を説明できる。 ・自分自身にどういう進路、キャリアの選択肢があるのかが説明できる。 |
第3回 | 業界・企業、職種研究 企業が求める人材 ・世の中にはどのような業界、企業があるのか、そこでは具体的にどのような仕事をするのかを理解する。 ・自分が活かせる業界・企業・職種はどこかを考え、企業において、仕事において、どのような人材が求められているかを知る | ・自分のキャリア選択肢になり得る業界・企業・職種について説明できる。 ・企業が求める人材像について説明できる。 ・企業が求める人材像に訴求できる自分のアピールポイントを説明できる。 |
第4回 | 東工大生の進路、先輩の進路、理工系のキャリア②(ゲスト講演) ・東工大の先輩達の進路、キャリアを学び、理工系、東工大生としてどのようなキャリアの選択肢があるのかを理解する。 ・比較的新しい分野で活躍されている若手の卒業生(東工大だけではなく理 工系研究大学の卒業生を含む)による講演 | ・自分のキャリア選択肢になり得る業界・企業・職種について説明できる。 |
第5回 | 他者理解とコミュニケーション 他者の価値観を知り、その多様性を理解し、意思疎通のポイントを理解する。 | ・他者の価値観を尊重する重要性を理解する。 ・コミュニケーションのポイントを説明できる。 |
第6回 | グループディスカッション演習 ・(就職活動における)グループディスカッションの効果的な進め方を習得する | ・グループディスカッションを効果的に進行するポイントを理解する。 |
第7回 | 自分のキャリアアンカー・価値観を知る。自分のアピールポイントとは ・自分の軸となっている価値観を知る。相手に訴求できる自分の個性を理解する | ・キャリアアンカー概念について説明できる。 自分自身のキャリアアンカー、仕事の価値観について説明できる。 |
第8回 | キャリアデザイン、まとめ ・プレゼンテーションのポイントを踏まえて実践する。また、他者のキャリアデザインの話を聴いて自分の考えの幅を拡げる。 | ・自分の今後のキャリアデザインについて効果的にプレゼンテーションできる。 |
指定なし
講義資料は講義中に配布する。
配点は、毎回の授業中に配布するフィードバックシート(50%)、レポート1本(50%)。
履修の条件を設けない。
伊東幸子(sito[at]jim.titech.ac.jp)
守島利子(tmorishima[at]jim.titech.ac.jp)
守島講師:キャリア相談を予約してください。
http://www.titech.ac.jp/enrolled/career/counseling.html
伊東講師:学修コンシェルジュ窓口にいらしてください。
http://www.titech.ac.jp/enrolled/counseling/concierge.html