この講義では,毎年題材を変えて現代の技術史研究の状況を展望していきます.本年度は「環境としての技術」をテーマとします.19世紀以降,交通網、配送電網や上下水道から始まり,人間はますます人工的に作られた世界の中に生きるようになってきました.本講義では,20世紀後半の英語圏において長く技術史研究を牽引した Thomas P. Hughes の著書 Human-Built World: How to Think about Technology and Culture (Chicago: University of Chicago Press, 2004) を手がかりとして,近代技術および「第二の自然」としての技術について考えていきます
1. 現代の技術史研究を通じて,技術の様態についての視野を広げること
2. 技術を歴史と結びつけて考えられるようになること
技術史,インフラストラクチャ,環境史,技術批評
専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
毎回60分程を講義に当て,その内容を踏まえてコメントを提出してもらいます.授業の後半はそのコメントを踏まえたディスカッションを主体として進めていきます.
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 導入, 環境の地下世界化, 鉄・石炭・蒸気の産業革命 | Reading: Chapter 1 |
第2回 | 「第二の創世」としての技術とその文化的反応 | Reading: Chapter 2 |
第3回 | 第二次産業革命期のインフラ技術 | None Required |
第4回 | 第二次産業革命期における技術と文化 | Reading: Chapter 3, 5 (pp. 112-136) |
第5回 | 冷戦と情報技術の環境化 | None Required |
第6回 | 技術システム時代の文化的表出 | Reading: Chapters 4, 5 (pp. 137-152) |
第7回 | まとめにかえて: 環境化した技術と技術の環境化 | Reading: Chapter 6 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
Thomas P. Hughes. Human-Built World: How to Think about Technology and Culture. Chicago: University of Chicago Press, 2004.
Rosalind Williams. Notes on the Underground, new edition: An Essay on Technology, Society, and the Imagination. MIT Press, 2008.
Ulrike Felt, et al. (eds) The Handbook of Science and Technology Studies Fourth Edition, MIT Press, 2017.
毎回のフォーム提出(50%)と期末レポート(50%)で評価する. なお,レポートでChatGPTなどの対話型AIを使用する場合その旨を記載し,その正しさを文献情報を示して裏付けを行うことが求められる.
特に履修要件は設けない.
kawanishi.t.ac[at]m.titech.ac.jp