「できること」と「できないこと」――こんなふうに言葉にしてみると、なんてこともないように思えます。
でも、実際のところ、自分にはなにができて、なにができないのかを見分けるのは、そんなに簡単でもありません。例えば、過去に経験したことを、自由自在に思い出せるかと言われたらどうでしょう。すぐに思い出せそうなこともあれば、経験したはずなのに思い出せないこともある。そうかと思えば、街を歩いているとき鼻にした香りから、勝手になにかが思い出されたりもします。それに、もし自由自在にものを思い出せるなら、試験で苦労もしないはず。
と、これはほんの一例。自分の心身をはじめ、自分以外の人や動植物、自然や社会や技術など、さまざまな範囲で「できること/できないこと」について考えてみると、はじめは簡単に見えた問いも、けっこう複雑であることが感じられてきます。
この講義では、「できること/できないこと」という見方から哲学を試みてみます。
この講義では、受講者が次のことをできるようになることを目標とします。
1) 哲学という営みがどのようなものかを理解できる。また、誰かに説明できるようになる。
2) 「できること/できないこと」について適切に検討できるようになる。
哲学、問い、できること/できないこと(権内/権外)、エピクテトス、ストア派
専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
スライドを使った講義形式と演習で進めます。授業の前半で講義を行い、お題を提示します。後半の演習では、そのお題について考えたことをメモとして書いてみます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | プロローグ――講義概要の説明 | この講義では何をするのか、どんなふうに臨めばよいかを理解する |
第2回 | できること/できないことの哲学(基本編) | できること/できないこと、という区別に基づく哲学を理解する |
第3回 | 私にできること/できないこと(個人編) | 個人の場合について考える |
第4回 | 私たちにできること/できないこと(社会編) | 複数の人びとの場合について考える |
第5回 | コンピュータにできること/できないこと(技術編) | 技術を用いる場合について考える |
第6回 | できること/できないことは変わる(未来編) | できること/できないことが変化する可能性や条件について考える |
第7回 | エピローグ――全体をふりかえる | 以上の考察をふりかえる |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
必要に応じて資料を配付します
講義内で随時紹介します
期末レポート60%、ミニレポート30%、講義への貢献(発言・質問など)10%
予備知識は必要ありません