2022年度 技術史B   History of Technology B

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開講元
文系教養科目
担当教員名
河西 棟馬 
授業形態
講義    (ライブ型)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(S622)  木1-2(S622)  
クラス
-
科目コード
LAH.T203
単位数
2
開講年度
2022年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2022年3月16日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義の狙いは,社会・経済・文化の中で技術が果たしてきた役割について,受講者が主体的に考える力を養うことにあります。人類の歴史は常に何らかの「技術」と共にありましたが,ここでは(西洋中心主義の批判があることは理解した上で)「西洋近代技術」の歴史を学んでいきます。技術の変化は歴史の展開に絶大な影響を与えてきました。例えば,蒸気船・鉄道・電信に代表される交通革命なくして19世紀の帝国主義はありえませんでしたし,重化学工業の勃興は石油などの資源の重要性を大きく向上させ,当時の列強国を「持てる国」と「持たざる国」に分かち,これは第二次大戦の遠因となります。産業資本主義社会の到来が,ナショナリズムや近代帝国主義の勃興を促したこともすでに定説となっています。ここでは,ロバート・フリーデルの「改良文化(culture of improvement)」というフレームを用いて,社会・経済・文化の複雑な網の目の中で,技術の果たしてきた歴史的役割を考察していきます。

到達目標

1. 技術を幅広い視野の下で考察する力を養う
2. 世界史の中で技術が果たしてきた役割を理解する

キーワード

産業革命(第一次,第二次),交通革命,科学技術,軍事技術,総力戦

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義形式で進めていきます.講義後にコメントを提出してもらいます。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 イントロダクション:講義の全体像 中世(1) 農業技術と動力技術(人力・畜力・風水力) 特に設けない
第2回 中世(2)アジアからヨーロッパへの技術移転(製紙・火薬・羅針盤)と軍事技術の革新 リーディング課題を指示する。
第3回 近世(1)ルネサンス期の技術(ガラス,造船,時計,兵器)と「高級職人」 リーディング課題を指示する。
第4回 近世(2)鉱山技術と錬金術;活版印刷と「技術書」というメディアの出現 リーディング課題を指示する。
第5回 科学と技術の接近(1)「有用な科学」という思想 リーディング課題を指示する。
第6回 第一次産業革命(1)蒸気機関と繊維工業:製品の革新から「プロセス」の革新へ リーディング課題を指示する。
第7回 第一次産業革命(2)交通と通信の革命:蒸気船・鉄道・電信 リーディング課題を指示する。
第8回 第一次産業革命(3)生産技術の革新—フランス革命の兵器廠から製造のアメリカンシステムへ リーディング課題を指示する。
第9回 科学と技術の接近(2)熱・電気・流体の力学と技術 リーディング課題を指示する。
第10回 第二次産業革命(1)国家及び資本を媒介とした科学と技術の社会的一体化,発明と改良の「制度化」 リーディング課題を指示する。
第11回 第二次産業革命(2)巨大技術の時代,電力・石油・自動車・大量生産 リーディング課題を指示する。
第12回 2つの大戦:総力戦時代の技術 リーディング課題を指示する。
第13回 エレクトロニクスと通信:第三次産業革命? リーディング課題を指示する。
第14回 総括:転換点としての1970年代 特に設けない

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

Robert Friedel. A Culture of Improvement: Technology and the Western Millennium. (MIT Press 2007)

参考書、講義資料等

ルイス・マンフォード(生田勉訳)『技術と文明』(美術出版社 1972)
T. K. デリー,T. I. ウィリアムズ(平田寛・田中実訳)『技術文化史』(筑摩書房 1971)
Donald Cardwell, Wheels, Clocks and Rockets: A History of Technology (W. W. Norton & Company 1994)
Horn, Jeff, Leonard N. Rosenband, and Merritt Roe Smith, eds. Reconceptualizing the Industrial Revolution. (MIT Press 2010)
長谷川貴彦『産業革命』(岩波書店 2012)

その他,講義中に指示する.

成績評価の基準及び方法

2度のレポート(各50%)で評価する.

関連する科目

  • LAH.T103 : 技術史A
  • LAH.T303 : 技術史C
  • LAH.S416 : 文系エッセンス16:技術史

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特に設けない。

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