本講義では、企業の社会責任と働き方の視点から未来社会を考えます。伝統的な企業の利害関係者は株主、顧客、従業員でした。最近数十年に、利害関係者の定義が地域社会やサプライチェーン全体に広がってきました。そのため、グローバルに事業を展開する企業が尊敬を勝ち得ようと思うなら、長期的な視点で価値創造をしなくてはなりません。また、インターネット利用の普及により、人々はオフィスだけでなく自宅や他のどんな場所でも働けるようになりました。これにより非伝統的な労働者も労働市場に参加できる可能性が生まれました。
この講義では、企業の社会的責任に関する近年の歴史と働き方の変化を学びます。そして、科学の専門性を持つビジネスパーソンとして、ビジネスが良き未来形成のために何ができるか考えます。
本講義を履修することによって、次の能力を修得します。1)企業を取り巻く多くの利害関係者(ステークホルダー)の存在を理解する、2)グローバル化とインターネットの普及で企業を取り巻く環境が変化したことを理解する、3)科学の専門知を持つビジネスパーソンとして、良きビジネスの実践のために何ができるか考える、4)ビジネスと科学の知見を統合する
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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教員はジャーナリストとして20年以上、ビジネス分野を取材し、企業経営者や若手専門職を含む1000名以上に取材をしました。経験を踏まえ、世界の傾向を踏まえた実践的で最新の知見を提供します。 |
多様性、仕事と私生活の調和、ESG経営、SDGs、企業と人権
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
毎回、事前に読むべき資料があります。授業の始めに、予習した資料のサマリーを受講生にお話いただき、また、分析的なコメントをしていただきます。それに基づき、教員が各テーマの解説をします。授業中は、教員が受講生にたくさん質問をします。この講義は留学生の受講を歓迎します。教員は日本語で授業をしますが、受講生は日本語英語どちらでも発言できます。いくつかの資料は日本語英語の両方で読むことができます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | オリエンテーション:ビジネスと未来への責任 | SDGs、ESG経営、 ビジネスと人権について学びます。 |
第2回 | 変化する働き方:ワークライフ・インテグレーション | 仕事と私生活が調和した働き方について学びます。 |
第3回 | ゲスト講義:石橋哲教授(東京理科大学) | 企業再生や国会の原発事故調査委員会について学びます。 |
第4回 | ゲスト講義の振り返り | 石橋教授の講義をレポートにまとめ、クラスで議論します。 |
第5回 | 課題図書に基づく議論:「論語と算盤」 | 渋沢栄一の著名な本を読み、事前にレポートを書いた上で、理想的な企業のあるべき方向を議論します。 |
第6回 | ドラマで考える未来の企業社会 | 日本や海外のドラマを例にあげて企業や働き方の問題を考えます。 |
第7回 | 課題図書に基づく議論:「No Rules」 | Netflix の人材マネジメントについて書かれた本を読み、事前にレポートを書いた上で議論します。 |
第8回 | 企業情報発信におけるリスクアセスメント | 事例をもとに学び、グループで議論します。 |
第9回 | 企業経営とジェンダー | G20における議論など国際潮流、機関投資家の視点を学びます。 |
第10回 | 課題図書に基づく議論:「アルツハイマー征服」 | 課題図書を読み、講義前にレポートを提出し、それに基づき議論します。 |
第11回 | ゲスト講義:下山進氏 | アルツハイマー病の特効薬開発における企業の意思決定について学びます。 |
第12回 | ゲスト講義の振り返り | 下山氏の講演を振り返ってレポートにまとめ、それをもとに議論します。 |
第13回 | ゲスト講義:只松美智子氏 | コンピュータサイエンスの技術者、金融コンサルタントを経た起業家のキャリアについて話を聞きます。 |
第14回 | ゲスト講義の振り返りと自身のキャリア構築 | 只松氏の講演を振り返ってレポートにまとめ、受講生自身のキャリアを考えます。 |
読書レポートを計3回、ゲスト講演内容の振り返りレポートを3回、書いていただきます。いずれも1000~1200文字。書籍は読むのに相応の時間がかかります。
ありません
次の3冊を読み、レポートを書く課題があります。
渋沢栄一「論語と算盤」(ちくま新書)または(角川ソフィア文庫)
エリン・メイヤー、リード・ヘイスティングス「ノー・ルールズ:世界一自由な会社ネットフリックス」(日本経済新聞出版)
下山進「アルツハイマー征服」(角川書店)
受講生の知識、分析的能力と積極的な姿勢を評価します。3回の読書レポートと3回のゲスト講演振り返りレポートを各10%、議論への参加姿勢や出席回数を20%、最終レポート20%で評価します。
特にありません
治部れんげ jibu.r.aa[at]m.titech.ac.jp
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