本講義では、社会的性差(ジェンダー)の観点から未来を考えます。近年、G20やG7などの多国間枠組みにおいて、ジェンダー主流化と持続可能な経済発展を結び付ける考え方が定着し、成果文書も数多く発表されています。それらを読み解き傾向をつかみます。
近い将来、海外留学したり、出張などビジネスで海外とやり取りをしたり、学会発表をする可能性が高いみなさんが、知っておくべき「教養としてのジェンダーの知識」を身に着けていただくことが、本講義のねらいです。SDGsゴール5にある「ジェンダー平等を実現する」について、地域、家庭、教育、企業、政治の各分野でジェンダー平等の実現に向けた各人のプランを作れるようになることを目指します。
本講義を受講することによって次の能力を修得します。1)ジェンダーとは何かを知る、2)家庭や学校で刷り込まれる無意識のジェンダーバイアスに気づく、3)経済や政治の世界に存在するジェンダー格差を知る、4)ジェンダー規範は文化的に作られるものであることを理解する、5)多国間協議、エンタメ業界など、様々な分野でジェンダー視点が取り入れられていることを知る、6)ジェンダー問題を議論する大規模な会議に参加し、事実に基づく分析と独自の意見、解決提案を語れるようになる
✔ 該当する | 実務経験と講義内容との関連(又は実践的教育内容) |
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教員はジャーナリストとして、最近7年間にジェンダーに関する記事を新聞、雑誌、オンラインメディアに約300本執筆し、企業や行政に助言してきました。 こうした経験を踏まえ、受講生をジェンダー平等と未来社会に関する若手有識者に育成します。 |
ジェンダー、社会規範、無意識バイアス、国際比較、男女格差
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
授業の冒頭では、予習に基づく意見を参加者に話していただきます。その後、各回の解説をします。この授業は留学生の受講を歓迎します。教員は日本語で授業を行いますが、受講生が発言する際は日本語・英語どちらを使ってもかまいません。一部の参考資料は英語で提供します。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | オリエンテーション:ジェンダーとは何か?~「男らしさ」「女らしさ」の社会的押し付け | 「男の子/女の子だから」「〇〇しなさい/してはいけない」と言われたことはありますか? |
第2回 | ジェンダーギャップ指数調査を読む | 世界経済フォーラム「ジェンダー・ギャップ指数2020レポート」を読みます。 |
第3回 | データで見る恋愛と結婚(1)ゲスト講演 | マッチングアプリ企業の経営者がお話します。 |
第4回 | データで見る恋愛と結婚(2)ゲスト講演の振り返り | レポートを書き、グループで議論します。 |
第5回 | LGBT(1)読書課題 | SOGI(性的指向と性自認)に関する書籍を読み、レポートを書き、グループで議論します。 |
第6回 | LGBT (2) ゲスト講演 | LGBTに関する専門家の講演を聞きます。 |
第7回 | コンテンツとジェンダー(1)エンタメ | ドラマ、映画をジェンダー視点で見ます。 |
第8回 | コンテンツとジェンダー(2)広告 | SNSのジェンダー炎上はなぜ起きるのか。企業はどう対応しているのか。 |
第9回 | 国際協力とジェンダー(1)ゲスト講演 | 途上国の妊産婦支援事業を手掛けるNGOのブランドマネジャーに話を聞きます。 |
第10回 | 国際協力とジェンダー(2)ゲスト講演の振り返り | レポートを書き、グループで議論します。 |
第11回 | 企業とジェンダー(1)グローバル化と最新動向 | 機関投資家の動き、G20首脳宣言などを学びます。 |
第12回 | 企業とジェンダー(2)男女雇用機会均等法(読書課題あり) | 均等法制定に携わった人物の本を読み、歴史的な性差別について学びます。 |
第13回 | 仕事と私生活(1)希望と現実のギャップ | 受講生自身が希望する仕事と私生活のバランスについて小グループで議論します。 |
第14回 | 仕事と私生活(1)データは何を語るか(読書課題あり) | 計量社会学者の本を読みます。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する 予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
赤松良子「均等法をつくる」(勁草書房)
筒井淳也「仕事と家族」(中公新書)
松岡宗嗣「LGBTとハラスメント」(集英社新書)
これらの書籍を読み、読書レポートを書く課題があります。
世界経済フォーラムのジェンダーギャップレポート、G20首脳宣言文書などを参照します。
受講生の知識、分析的能力と積極的な姿勢を評価します。読書レポート(3回、各10点)、最終レポート(20点)、事前課題(50点)で評価します。
ありません
治部れんげ jibu.r.aa[at]m.titech.ac.jp
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