「石牟礼道子 その生涯と作品」をテーマに主要著作『苦海浄土』を中心に石牟礼道子の著作に親しみ、道子の生涯に思いをめぐらせる。生来深甚な孤独を抱き、再三自殺未遂をはかるなど生きるのが苦しかった道子は「書くこと」に活路を見出す。自分の孤独に見合う水俣病患者の孤独を書くことで前に進むことができたのである。一方、盟友・渡辺京二とともに水俣病闘争を主導。「近代への前近代の異議申し立て」(渡辺)と称される闘争は患者の救済にとどまらず、利益至上、効率優先の社会の流れに歯止めをかけることになる。水俣病の悲劇を魂の問題にまで高めた石牟礼の軌跡を追い、水俣病が現代人に問いかけているものを考える。自伝的長編『椿の海の記』、島原・天草の乱を描いた長編『春の城』など『苦海浄土』以外の作品にも積極的に言及し、レポートや対話などで、その生涯と作品への理解を深めていく。
文学作品や、その背後の作者を多角的にとらえる力をつける。
自己の経験、感情を基盤にした言語表現への道筋をつかむ。
石牟礼道子、公害、水俣病、水俣病闘争、渡辺京二
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
講義中心ですが、一方通行は避けたい。
学生からの疑問や挑発を期待。時々、「なにか発言は」と聞くので、よくわからないこと、もっと知りたいことなど、思うことを率直に述べてほしい。作品の一部を事前に指定し、その部分についての感想を述べてもらうこともある。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス | 14回の講義の流れを理解する |
第2回 | 石牟礼道子の生涯の概略 | 石牟礼の生涯のアウトラインを理解する |
第3回 | 水俣病事件の概略 | 社会的背景を踏まえて具体的内容を理解する |
第4回 | 渡辺京二ら石牟礼を支えた人々 | 石牟礼を支えた人脈を把握する |
第5回 | 『苦海浄土』の解説 | 『苦海浄土』のアウトラインを理解する |
第6回 | 『苦海浄土』を読む① | 作品に具体的に接し、読解力をやしなう |
第7回 | 『苦海浄土』を読む② | 作品に具体的に接し、読解力をやしなう |
第8回 | 『苦海浄土』を読む③ | 作品に具体的に接し、読解力をやしなう |
第9回 | 『苦海浄土』を読む④ | 作品に具体的に接し、読解力をやしなう |
第10回 | 『春の城』の解説 | 水俣病闘争と島原・天草の乱の比較などで理解を深める |
第11回 | 『食べごしらえ おままごと』の解説 | 石牟礼の料理の意味を理解する |
第12回 | 『椿の海の記』の解説 | 石牟礼の幼少期を理解する |
第13回 | 新作能「不知火」と「沖宮」解説 | 晩年の能の意味を理解する |
第14回 | 総括、質疑応答 | 講義全体を振り返り、論点をおさらいする |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
石牟礼道子『苦海浄土 わが水俣病』(講談社文庫)
※事前に購入してください。最新版が望ましいが、旧版でもかまいません。
購入が無理な方はメールをください。私が持っている本を指定場所に送ります。
若松英輔『100分de名著 石牟礼道子 苦海浄土』(NHK出版)
高峰武『水俣病を知っていますか』(岩波ブックレット)
米本浩二『評伝石牟礼道子 渚に立つひと』(新潮文庫)
※購入する必要はありませんが、講義中に言及することがあります。
2回のレポートが中心ですが、授業への参加回数なども参考に、総合的に判断します。
なし。
rsy09436[at]nifty.com(数字も半角)
事前にメールで予約すること
メールでの質問を随時受け付けます。私の能力の及ぶ限り答えます。
質問者の了解を得て、講義中に質問を紹介することもあります。