本講義の主題は「合意形成学」である。合意形成についてのさまざまな話題と知識を、講義を通して取り扱う。具体的には、「環境保全における合意形成マネジメント」、「討議型意識調査手法「Deliberative Poll」の実験」、「合意形成のレジティマシー」、「市民参加と合意形成」を検討する。
合意形成についての知識体系を理解し、それを他者に伝える能力を涵養することが本講義のねらいである。
講義を履修することによって次の能力を修得する。
1)合意とは何か、合意形成とは何かを述べることができる。
2)合意形成学の知識体系について、合意形成、環境保全、自然再生、地域マネジメント、討議型意識調査手法「Deliberative Poll」、インクルーシブデザイン、市民参加・市民参画などの用語を用いながら、他者に説明することができる。
合意形成、環境保全、自然再生、地域マネジメント、討議型意識調査手法「Deliberative Poll」、市民参加・市民参画、インクルーシブデザイン
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
1つのテーマにつき1回の授業を使う。各授業では各テーマの専門家が講義を行う。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス、導入 | 合意とは何か、合意形成とは何かを述べることができる。 |
第2回 | 「環境保全における合意形成マネジメント」:具体的な環境保全プロジェクトの事例を通して、わたしたちは多様なステークホルダー間で創造的な合意形成プロセスを実現するためのマネジメント手法について議論し、理解する。 | 環境保全における合意形成マネジメントの理論と技術を理解する。 |
第3回 | 「討議型意識調査手法「Deliberative Poll」の実験」:討議型意識調査手法「Deliberative Poll」の設計思想と事例をもとに、無作為抽出市民による討議は、規模と討議密度のトレードオフ問題に対処する手段として有効であり、討議民主主義実現の鍵となることを論じる。 | 討議型意識調査手法「Deliberative Poll」の設計思想とその特性を理解する。 |
第4回 | 「合意形成のレジティマシー」:話し合いのプロセスのインクルーシブデザインとはどのようなものか、事例をもとに理解を深める。排除と包摂を軸に、合意形成のレジティマシーについて考える。 | 合意形成をめぐるレジティマシーの問題について説明し、インクルーシブデザインはいかにあるべきか自分の考えを述べることができる。 |
第5回 | 「市民参加と合意形成」:環境政策やまちづくりにおける市民参加の意義と課題,合意形成の手法を具体事例を取りあげながら解説する。 | 多様な利害関係者を対象とした市民参加の場を設計し、合意形成に導くためのプロセスを理解する。 |
第6回 | 「合意形成グループワーク」:合意形成を体験する。 | 合意形成の難しさと意義を説明できる。 |
第7回 | まとめ | 合意形成の知識体系の概要を他者に説明できる。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
指定しない。
講義資料はT2SCHOLA等により与える。
参考書:「合意形成学」(勁草書房、2011年、ISBN-13: 978-4326301966)
毎回の授業後に提出する課題に基づいて評価を行う。
毎週の課題は、授業で学んだことの簡潔なまとめと、担当教員が課すテーマについて作成する800文字程度のレポートで構成される。
課題の提出は、授業の翌週月曜日17時。
欠席理由に関わらず、欠席した日の代替措置はない。
欠席した日の授業内容については、T2SCHOLAにアップロードされる資料で確認すること。
合意形成への興味があることが望ましい。
科目責任教員:猪原健弘(いのはらたけひろ)教授、inostaff[at]shs.ens.titech.ac.jp
問合せをする際に、メールの件名には科⽬名、メールの本⽂には学籍番号と⽒名を⼊れてください。