概要
ミクロ経済学の基礎理論と厚生経済学の理論的展開について講義する。具体的には、交換経済、厚生経済学の基本定理、パレート原理とその問題点、社会の厚生と個人の福祉に関する評価の方法と問題点について、理論を整理しその展開を解説する。
ねらい
1) ミクロ経済学の分析手法を用いて、市場メカニズムと市場の限界を理解する。
2) 経済学の考え方に基づいて問題を論理的に考える力を高める。
3) 社会の現実問題に対して多様な視点を持つことができる。
本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 交換経済を説明できる。
2) 厚生経済学の基本定理を説明できる。
3) 仮説的補償原理を理解する。
4) 社会厚生関数を理解する。
5) リベラル・パラドックスを理解する。
6) 福祉評価の方法と問題点を理解する。
ミクロ経済学、厚生経済学、アマルティア・セン、ケイパビリティアプローチ
✔ 専門力 | 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
スライドを用いて講義内容を解説する。質問、意見はメールで随時受け付け、授業で共有する。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | ガイダンス | 講義の概要や進め方を説明する |
第2回 | 選好・効用 | 選好と効用について理解する |
第3回 | 交換経済(1) | 交換経済をエッジワース・ボックスを用いて説明できる |
第4回 | 交換経済(2) | 交換の合意とパレート効率について理解する |
第5回 | 厚生経済学の基本定理 | 厚生経済学の基本定理を理解する |
第6回 | 仮説的補償原理(1) | 効用可能性フロンティアについて理解する |
第7回 | 仮説的補償原理(2) | 補償原理の論理と問題点について理解する |
第8回 | 効率性と衡平性 | 資源配分に関する厚生判断の二つの基準を理解する |
第9回 | 社会厚生関数 | 社会厚生関数を理解する |
第10回 | リベラル・パラドックス | 個人の自由の尊重とパレート原理は両立しないことを理解する |
第11回 | 個人の福祉の評価(1) | 従来の評価指標の問題点について理解する |
第12回 | 個人の福祉の評価(2) | ケイパビリティアプローチの概念と経済定式化を理解する |
第13回 | 個人の福祉の評価(3) | 実証研究の例を通じて、経済学理論を社会の現実問題に適用する実際を知る |
第14回 | 個人の福祉の評価(4)、期末試験 | 実証研究の例を通じて、経済学理論を社会の現実問題に適用する実際を知る |
学修効果を上げるため,配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
教科書は指定しない
奥野正寛, 鈴村興太郎 (1985)『ミクロ経済学Ⅰ』岩波書店
奥野正寛, 鈴村興太郎 (1988)『ミクロ経済学Ⅱ』岩波書店
鈴村興太郎, 後藤 玲子 (2001)『アマルティア・セン―経済学と倫理学』実教出版
リアクションペーパー20%、小テスト30%、期末試験50%
基礎的なミクロ経済学の知識があることが望ましいが、経済学の必要な知識はその都度説明する