本講義では,社会的な意思決定過程をモデルするための基礎技法を提示する。主要な論点として,社会的選択理論を構成する諸概念について講義する。社会的選択理論は,個人の選好を集合的決定に結びつける方法を分析するための理論的な枠組みであり,コンドルセの投票のパラドクスやアローの不可能性定理に関連している。本講義の内容は,意思決定の際の情報基盤の問題にも関連する。本講義のねらいは,社会的意思決定に関する概念的理解を得る機会と,この領域における独立した研究的関心を育むような機会を,受講生に提供することである。
各学生には,社会的選択理論の基礎的枠組みとアローの不可能性定理を理解することを期待している。
投票,合理性,社会的選択理論,アローの不可能性定理
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
社会的選択理論に関する主要な論点を講義と討議を通して学ぶ。受講生には授業前に関連書籍と参考文献に目を通しておくことを期待する。多くの論点は数学的なものであり,しばしば定理やその証明を理解するのに多くの時間をかける。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 関係の表現 | 二項関係の基本概念を理解すること。 |
第2回 | 個人の合理性 | 個人の合理性の基本的な表記方法を理解すること。 |
第3回 | 効用の個人間比較 | 効用の個人間比較の概念を十分に理解すること。 |
第4回 | 選好の表現1 | 個人的な選好の表記方法を十分に理解すること。 |
第5回 | 選好の表現2 | 社会的な選好の表記方法を十分に理解すること。 |
第6回 | 社会的な選択1 | アローの理論における社会的厚生関数(SWF)を理解すること。 |
第7回 | 社会的な選択2 | アローの不可能性定理の基本的構造を理解すること。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
今学期は教科書を使用しない予定です。
アマルティア・セン著 『集合的選択と社会的厚生』 (勁草書房)
小試験(あるいは演習)を多数行う。またレポート提出を2-3度行う。小試験・演習は合計で評価全体の30%,レポート提出は70%を構成する(ただし全出席を前提としている)。全出席・全提出でも単位に至らない場合があるので留意すること。
数学や論理学を好む皆さんを歓迎します。
岩井 淳(いわい あつし)、iwai[at]gunma-u.ac.jp
メールで事前予約すること。窓口を担当下さる教員の居室は西9号館8階813号室。
当講義は理学の内容を含む。