生きた知能を,我々の科学技術はどれほど解明できているのでしょうか。哲学(フィロソフィー)とは,知を愛づるということ。本授業は,この知への愛についてのささやかなレッスンです。たとえば,人工知能研究もまた,本来こうした知性へのアプローチの一つであるとみるべきもの。思考機械をつくることで知性の秘密に肉薄しようとしたのです。この講義では,そのような人工知能研究を一例として,知の探究についての理解を深めてゆきましょう。
ここで取り扱う主題は二つです。一つは,知識を論理的な過程とみなす「推論」という考え方。もう一つは,現代の科学技術的な知能観を根底で支える「理性・悟性・感性」の序列という考え方です。
本科目を履修することによって次の能力を習得します。
1) 知恵を愛することとしての哲学についての理解
2) 知性の希求としての人工知能研究についての理解
3) 推論の諸様式についての知識
4) 科学技術的な知能観の歴史についての知識
哲学、人工知能、推論、演繹、帰納、アブダクション、理性、悟性、感性
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
主に講義形式で行います。
授業の後半で,その日の授業内容に関する演習問題(記述課題)に取り組んでもらいます。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 導入 | 授業で扱うテーマ(生きた知能という問い)を理解する |
第2回 | 推論(1):演繹 | 推論の諸様式とその科学技術への応用を理解する |
第3回 | 推論(2):帰納 | 推論の諸様式とその科学技術への応用を理解する |
第4回 | 推論(3):アブダクション | 推論の諸様式とその科学技術への応用を理解する |
第5回 | 知性(1):理性 | 理性・悟性・感性の序列と科学技術の関係を理解する |
第6回 | 知性(2):悟性 | 理性・悟性・感性の序列と科学技術の関係を理解する |
第7回 | 知性(3):感性 | 理性・悟性・感性の序列と科学技術の関係を理解する |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
指定なし
西垣通『ビッグデータと人工知能』中央公論新社
郡司ぺギオ幸夫『天然知能』講談社
米盛裕二『アブダクション』勁草書房
森田邦久『科学哲学講義』筑摩書房
坂部恵『ヨーロッパ精神史入門』岩波書店
講義資料は授業中に配布します。
毎回の記述課題(60%)+期末レポート(40%)
事前に身につけているべき知識や技術はありません。