音楽は、社会を構成するメンバーであり、かつひとりの個人でもある人間にとって、さまざまな意味を持ちます。
この授業では焦点を2つに絞ります。先ず、音楽の多様な意味の記号論的背景について学びます。
次に、「国」や「民族性」などの共同体イデオロギーの形成において、音楽が政治の目的に利用されることを勉強します。
学生は、後者について、自分が育った社会において、政府(やそれに反対する人々)がどのように音楽を享受し、時に利用しているか、批判的な視点をもって調べてレポートを作成し、提出します。
毎週、主にアメリカイリノイ州立大学の Thomas Turino による2007年Music as Social Life: The Politics of Participationという名著を読みます。Turinoからのチャプターや抜粋の中身を(プロテスト・ソングの例を含む)多文化の音楽に繋げて話し合います。また、授業の課題は、履修者の(聴講者、愛好者・ファン、学習者、演奏家、もしかすると作曲家としての)実際の音楽経験にもとづいて行います。
* 「音楽はなぜ極めて大切か」という質問に対して、様々な代表的な観点
* 奏者や聴覚者・「反応者」において、音楽による意味のメカニズムを分析的に理解・説明するための基本概念や単語
* 個人あるいはグループのアイデンティティが音楽によって「生じられる」こと、そして権威のある者は音楽を利用することについての諸説
社会、参加、権威、演奏、アイデンティティ、他者そして他文化との共生
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
1. 授業の前に指定された文章を読み、音楽教材の抜粋を聞く。 6週間目までに英語で口頭サマリーを録音して提出することとなります。
2. 4週間目に400単語程度の小レポートを提出することとなります。
3. 参照文献を含まないで)1,000単語程度のペーパー/ 小論文を7週目間までに提出することとなります。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業と基本概念の概要、履修者の実際の音楽経験 Turino 2007, Chapter 1, pp1-12. | 授業の諸目的を把握すること。履修者が 参加している(または参加した)「音楽によるコミュニティ」(cohorts)を考慮して話し合うこと。 |
第2回 | [responses to initial homework due] Turino 2007, Chapter 1, pp 12-20; Chapter 7, pp 189-210 | Turino1-12ページを読んだ上で“EXPERIENCING MUSICAL MEANING”という宿題シートを書き入れる。 第7章前半を元に、母国の社会における音楽が政治の目的に利用されることを考える。 |
第3回 | Turino Chapter 7, pp210-224; Manabe 2012 | 指定された履修者のグループはTurinoの数ページを担第7章後半とManabe 2012を元に、母国の社会における音楽が政治の目的に利用されることを考えて、英文レポートを用意する。 |
第4回 | [short written report due] Turino Chapter 2, pp23-51 | 音楽体験の「参加的モード」を理解すること。 |
第5回 | Turino Chapter 2, pp51-65 | 音楽体験の「presentationalモード」を理解すること。 |
第6回 | Turino Chapter 4, pp93 - top of 97, and 100 - middle of 117 only | Turinoによる音楽とthe self, social identity, cultural cohorts and formationsの説を把握して理解すること。 |
第7回 | Review; final written assignments due | 勉強してきたTurinoなどによる概念や方法についての理解を示すこと。 小論文を提出することとなります。 |
学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。
Music as Social Life: The Politics of Participation, by Thomas Turino (University of Chicago Press, 2007)
Copies of some additional and optional reading materials will be provided by the instructor.
最初の宿題シートへの英文答え(第2週まで) 15%
口頭サマリー (第6週まで) 15%
英文レポート (第4週まで) 20%
英文ペーパー (第7週まで) 50%
音楽学や音楽理論に関する高いレベルの知識や経験は必要ありません(このことについて質問があれば授業開始より前にe-mailにてお知らせください)。必須事項は、音楽をじっくり聞き、音楽を深く理解したいという願望を持ち、なぜ人間が音楽無しでは生きられないのか知りたいと希望すること、また、音楽について理論的に考察し、話し、描くことができるようになることが目的です。また、英語で読み書きできることも必須です