2020年度 技術史C   History of Technology C

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開講元
文系教養科目
担当教員名
河村 豊 
授業形態
講義    (Zoom)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月3-4(S621)  木3-4(S621)  
クラス
-
科目コード
LAH.T303
単位数
2
開講年度
2020年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2020年9月18日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

現代における「技術」について,それが歴史的に形成されてきたと捉えることで,その主要な特徴を理解することを目標にします.分析方法としての「技術史の方法」についても学ぶことも目標に含めます.
この講義で取り上げる時代としては現代とします.現代技術の主要な特徴には,科学を応用することで登場してきた技術(Science based Technology:科学依存型技術ともいう)があるので,この技術に注目することで,それ以前の技術との比較,工学・エンジニアの起源,発明過程と産業化過程(普及過程)の区別,研究機関および研究開発方式の登場,技術と戦争との関わり,科学技術政策の起源などについて検討します.
実際の講義では,技術(Technology)・工学(Engineer)・科学(Science)の区別と関連性という概念の歴史的変化も扱いたいので,前半部分では,技術(製品技術と製造技術)の歴史的変化を,イギリス産業革命,アメリカ的大量生産システムを事例に扱う予定です.その後で,科学依存型技術の成立過程に関わる歴史的事例をとして,主に電気技術・エレクトロニクス分野の事例を取り上げる予定です.

到達目標

本講義を履修することによって以下の能力を習得します.
(1)技術(Technology)が示す概念について議論できる基礎力.
(2)現代技術(Modern Technology)が示す内容について,その主要な特徴を議論できる基礎力.
(3)現代社会における技術の影響力を冷静に分析するために必要な,基礎的な分析力.

キーワード

現代技術,科学依存型技術,科学技術と社会,電気電子技術史,産業,戦争と科学技術

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

講義形式を基本とする.講義の前半は,前回講義の振り返り・確認とする予定.

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 この講義のテーマは「科学依存型技術」とする.現代技術を歴史的に分析するための準備として,技術-工学-科学の関連性,および技術の起源に関わる特徴を理解する. 毎回の授業の前半では,前回の講義の確認を行う予定.
第2回 近代技術の特徴(製造技術としての機械)について,イギリス産業革命の歴史的変遷を事例にして,その主要な特徴を理解する. 同上
第3回 現代における製造技術の特徴について,アメリカ的大量生産システムの歴史的変遷を事例にして,その主要な特徴を理解する. 同上
第4回 現代技術の特徴として,エンジニアの登場過程を,イギリスのCivil EnigneersとフランスのMilitary Engineers の事例を比較しながら,その特徴を理解する. 同上
第5回 科学依存型技術登場の背景として,応用可能が容易な科学知識の登場過程に注目し,第2次科学革命(物理学誕生)を事例にして,その特徴を理解する. 同上
第6回 科学依存型技術の登場を扱う.18世紀末から化学産業が,19世紀初頭から電気産業が成立していく.その過程を発明と普及(技術更新:旧来技術から新技術への転換過程)という側面に注目して理解する. 同上
第7回 科学依存型技術の事例:エジソン・システムを事例に取り上げ,直流低電圧近距離送電システムの開発から普及までを扱う.特に旧来型照明技術であるガス照明との対比を行いながら,エジソン・システムの歴史的意義を理解する. 同上
第8回 生産技術の発展における電力技術普及の意味を分析する.電気エネルギーの利用はどのような有利な点があるのか.電力システム論争,電力ネットワーク網の設立過程などを事例にして,電力技術発展の歴史的意味を理解する. 同上
第9回 無線通信技術の登場を事例にして,エレクトロニクス分野の起源を取り上げる.電波発見を無線通信技術へと応用化する過程,さらに船舶通信へと事業化する過程の中で,有線通信と無線通信,あるいは巨大電気独占企業とベンチャー的企業,などを対比させながら,無線技術登場の歴史的意味を理解する. 同上
第10回 電磁気学の応用として登場した無線通信は,西欧列強間の植民地再分割をめぐる時代において,「通信主権」確保をめぐる政治的対立の中で発展することになる.その代表事例が大出力国際無線局の建設競争である.無線技術をめぐる国家間競争,技術政策の動きに現れる特徴を理解する. 同上
第11回 エレクトロニクスは実用真空管(電子管)発明により実質的に誕生する.民生技術として登場した真空管は,第一次世界大戦の中で実用真空管として改良され普及していく.科学(陰極線研究)→工学(増幅作用,発振作用の発見)→技術(用途に応じた普及型真空管).こうした展開過程に見られる特徴を理解する. 同上
第12回 真空管を利用した電波技術は,通信(音声伝送)という用途の他に,画像伝送,測定,探知,誘導,計算などの機能をもたらす多用途の装置として利用される.こうした多用途装置の開発を促すきっかけは戦争であった.戦時下の電波兵器開発を事例に取り上げ,物理学者が兵器開発に動員される過程やそこに現れた特徴,戦後に与えた効果などを理解する. 同上
第13回 太平洋戦争下での日本でも,物理学者が兵器開発に動員された.学術部門を担当する物理学者がどのようなプロセスで新兵器開発に関わったのか,その効果,歴史的意味などを,主として電波兵器を事例に理解する. 同上
第14回 冷戦期には,科学者を兵器開発に恒常的に動員する制度がアメリカを典型事例として現れる.軍産学複合体(Military-Industry-Academic Complex)の中での研究開発のスタイルがどのように形成されたかについて,半導体研究を事例にして理解する. 同上

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

なし

参考書、講義資料等

なし.授業中に資料を配布する予定.

成績評価の基準及び方法

レポート試験(90%),授業中の課題(10%)

関連する科目

  • LAH.T103 : 技術史A
  • LAH.T203 : 技術史B
  • LAH.T105 : 科学技術倫理A
  • LAH.T206 : 科学技術倫理B
  • LAH.T104 : 科学技術社会論・科学技術政策A
  • LAH.T205 : 科学技術社会論・科学技術政策B
  • LAH.T102 : 科学史A

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

なし

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

kawamura[at]tokyo-ct.ac.jp

その他

履修者の人数を考慮して、授業の形式や内容を変更する可能性があります。

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