2020年度 教養特論:オペラへの招待   Special Lecture: Introduction to Opera

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開講元
文系教養科目
担当教員名
山崎 太郎 
授業形態
講義    (Zoom)
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(W241)  木1-2(W241)  
クラス
-
科目コード
LAH.H213
単位数
2
開講年度
2020年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2020年9月30日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

オペラは歌とオーケストラ,舞台美術と衣装,言葉と演技といったさまざまな要素が一体となって,愛と死をめぐる人々の情念と社会の複雑な様相を描き出す総合芸術である。視覚と聴覚の相乗効果には何ものにも代えがたい魅力があり,それゆえに16世紀末の誕生以来,貴族社会から市民社会へのヨーロッパの歴史の変遷において,娯楽と教養の対象として発展を続け,現在,世界的な舞台芸術としての地位を確立するにいたっている。本講義では代表的な作品をいくつか紹介。各作品をさまざまな角度から掘り下げ,その魅力に親しむことで,現代の私たちにとってオペラが持つ意味を考え,ひいてはヨーロッパの社会と文化の成り立ちをより深く理解するための一助とする。
オペラといえば欧米で主に富裕層のために上演される豪華な芸術であり、日本に住む学生にはあまり縁のないと一般的に思われているが、今日の日本でもさまざまな上演が行なわれ、時には学生のための特別な価格設定がなされていたりする。またオペラは何よりもテレビドラマや映画と同様、人間たちの織り成す関係や喜怒哀楽の感情を描くドラマであり、演出によってはそれが(オリジナルのト書とは違う)現代の舞台装置や衣装という設定で示されたりもして、きわめて身近なものと感じられることもある。授業を通じて、このようなオペラの多様な在り方を紹介し、ヨーロッパの伝統文化への理解を深めるとともに、現代の私たちが生きる社会におけるオペラの意義を考えてゆきたい。

到達目標

1)言葉と音楽、さらには視覚的要素が結びついて、人間の情念と社会の様相を描き出す総合芸術としてのオペラの魅力に親しむ。
2)オペラというジャンルを通して、ヨーロッパの文化と歴史を別の側面からより深く知る。

キーワード

総合芸術 音楽 言葉、演劇 演出 ヨーロッパの文化と歴史 

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

数あるオペラ作品から数作を厳選、浅く広くではなく、少数の作品を深く知り、個々の作品の全体をまるごと味わうことによって、背景にあるオペラの世界の広がりと豊かさを感じてもらう(今回はモーツァルト《フィガロの結婚》、プッチーニ《ラ・ボエーム》、ヨハン・シュトラウス二世《こうもり》、チャイコフスキー《エフゲニ・オネーギン》を柱にしたラインナップとなります)。具体的な進め方としては、それぞれの作品について①台本と音楽を分析、②その作品を生み出した時代的背景や作品が放つ社会的メッセージについて考察、③異なる演奏や演出を比較鑑賞する。さらには ④オペラの形態がどのように発展してきたか、その歴史を俯瞰する。
コロナ感染下における今年度の授業は(1)オンデマンド型配信(講師が前もって作成したPPT等の動画+オペラの全曲上演動画を授業時間内外に視聴して、課題を提出する)を基本としつつ、(2)ZOOMを用いてのライブ授業(講師と受講生のQ&A+ブレイクアウト・セッションでのプレゼンテーション+デスカッションを含む)を2~3回取り混ぜるという二本立ての構成を予定。オンデマンド配信の動画は授業時間内でなくても、期間限定で視聴できるように設定するが、講師の説明動画とは別にオペラの映像も順次観てもらう必要があるので、総計では規定の授業時間以上の長い時間がかかる。毎回の振り返り提出、期末レポートはなし(その代わり、オペラ1本ごとの比較的長めの感想計3~4本を提出する必要あり)。それなりの覚悟と集中力をもって受講すること。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 ガイダンス オペラとはどういうものか モーツァルト 《フィガロの結婚》第1幕 台本と音楽 授業内で指示する。
第2回 モーツァルト 《フィガロの結婚》第2幕 台本と音楽 授業内で指示する。
第3回 モーツァルト 《フィガロの結婚》第3幕 台本と音楽 授業内で指示する。
第4回 モーツァルト 《フィガロの結婚》第4幕 台本と音楽 授業内で指示する。
第5回 モーツァルト 《フィガロの結婚》まとめ ZOOM 授業内で指示する。
第6回 プッチーニ《ラ・ボエーム》(1)台本と音楽 授業内で指示する。
第7回 プッチーニ《ラ・ボエーム》(2)台本と音楽 授業内で指示する。
第8回 プッチーニ《ラ・ボエーム》(3)台本と音楽 授業内で指示する。
第9回 プッチーニ《ラ・ボエーム》 まとめとディスカッション ZOOM 授業内で指示する。
第10回 ヨハン・シュトラウス《こうもり》(1)台本と音楽 授業内で指示する。
第11回 ヨハン・シュトラウス《こうもり》(2)台本と音楽 授業内で指示する。
第12回 チャイコフスキー《エフゲニ・オネーギン》(1) 台本と音楽 授業内で指示する。
第13回 チャイコフスキー《エフゲニ・オネーギン》(2) 台本と音楽 授業内で指示する。
第14回 《こうもり》《エフゲニ・オネーギン》 まとめとディスカッション ZOOM 授業内で指示する。

授業時間外学修(予習・復習等)

学修効果を上げるため,教科書や配布資料等の該当箇所を参照し,「毎授業」授業内容に関する予習と復習(課題含む)をそれぞれ概ね100分を目安に行うこと。

教科書

テキストは授業内で随時配布します。

参考書、講義資料等

水林章『モーツァルト《フィガロの結婚》読解 暗闇のなかの共和国』みすず書房、2007
山崎太郎『《ニーベルングの指環》教養講座――読む・聴く・観る! リング・ワールドへの扉』(アルテスパブリッシング)、2017
クラシックジャーナル046 『オペラ演出家 ペーター・コンヴィチュニー』(山崎太郎:責任編集)、アルファベータ、2012

成績評価の基準及び方法

毎回の振り返り50%+感想レポート50%の合計点

関連する科目

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  • LAH.H211 : 世界文学1
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  • LAH.H110 : 外国語への招待1
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履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

人数制限をする場合もあるので、必ず第1回の授業に出席すること

その他

オペラ好き、オペラを知らない人、どちらも歓迎です。ただし基本的な受講マナーを守り(授業中は私語のみならずスマホ、PCの使用も禁止。これは劇場でオペラを鑑賞する時の基本態度とも重なります)、熱意をもって授業に参加できることが条件。また毎回の授業後の振り返りレポート提出(400字前後)など、受講生にとっても積極的な努力・参加が多く求められる授業です。要は教員の説明を受身で聞くのではなく、皆さん自身で大いに考え、書き、参加していただきたいと思います。期間中は参考図書やプリントを自宅で読み、指定された視覚教材(DVD、CDなど)を積極的に利用するようにしてください。

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