2019年度 文系エッセンス45:シミュレーション社会科学   Essence of Humanities and Social Sciences45:Social Sciences with Evolutionary Simulation

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開講元
文系教養科目
担当教員名
中井 豊 
授業形態
講義
曜日・時限(講義室)
集中講義等   
クラス
-
科目コード
LAH.S510
単位数
1
開講年度
2019年度
開講クォーター
2Q
シラバス更新日
2019年7月22日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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講義の概要とねらい

本講義の主題は「シミュレーション社会科学」である。社会的ジレンマに陥る様々な問題状況、たとえば、万人の万人に対する闘争状態やフリーライダー問題などを説明するとともに、進化ゲーム理論や進化シミュレーションの分析手法を用いて、これらのジレンマが、共同体、国家、市場等の制度の出現によって解決し得ることを紹介する。また、計算社会科学(データサイエンス)の最新動向を紹介し、地域通貨やクラウドファンディングを題材に、実証的な社会現象の捉え方に関して議論する。

講義では、問題状況を数理モデルやプログラムで定式化し、同時に、モデルにこめられた社会科学的意味を吟味する形で、言説中心の社会理論にない新しい社会理論を示す。同時に、学生とともに批判的な検討を加え、複雑な社会をシステム思考で洞察する力を涵養する。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。
1) 1:1や1:Nの一般交換等の社会的交換行為、万人の万人に対する闘争状態、フリーライダー問題、内集団びいき、略奪国家等の概念を理解することができる。
2) 上記概念が社会的ジレンマ等の構造を持つことが理解できる。また、これらが数理的なモデルやプログラムを用いて記述できることが理解できる。
3) 進化ゲーム理論や進化シミュレーションが社会科学にどう応用されるかが理解できる。
4) モデルから得られる結果を解釈できる。特に、数理モデルが、共同体、ネーション(国民)、ステーツ(国家)という現象の洞察につながることが理解できる。
5) 計算社会科学(データサイエンス)による地域通貨やクラウドファンディングの分析を通じて、共助社会の可能性を議論できる。

キーワード

一般交換、万人の万人に対する闘争状態、フリーライダー問題、内集団びいき、略奪国家、社会的ジレンマ、進化ゲーム理論、進化シミュレーション、共同体、ネーション(国民)、ステーツ(国家)、地域通貨、クラウドファンディング、計算社会科学、データサイエンス

学生が身につける力

国際的教養力 コミュニケーション力 専門力 課題設定力 実践力または解決力
- -

授業の進め方

本講義では、社会科学的な解釈とモデルの構造を連携させることが最も重要であることから、どの授業においても、被説明対象である社会・歴史現象を具体的に説明するとともに、これを説明する数理モデルやアルゴリズムを出来る限り簡単な数学を用いて説明する。そして、モデルに対する社会科学的な解釈に関してディスカッションし、社会や歴史を社会システム科学的に洞察する視点を学ぶ。

本講義は、次の通り、集中講義の形式で行う。
8月19日:第1回《3-4限》、第2回《5-6限》
8月20日:第3回《3-4限》、第4回《5-6限》、第5回《7-8限》
8月21日:第6回《3-4限》、第7回《5-6限》、第8回《7-8限》
(講義室:本館H102)

集中講義のため、3日間、すべての時間帯に出席することが履修の条件となる。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 社会と歴史をシステム科学する 社会科学におけるシステム科学的な問題設定を理解せよ。
第2回 進化シミュレーションと進化ゲームの概要 エージェント・ベース・シミュレーションとレプリケーターダイナミックスを説明せよ。
第3回 集団的直接互酬システム~共同体という現象~ 集団的直接互酬性を説明せよ。
第4回 タグによる共同体システム~ネーション(国民)という現象~ タグへの信頼の発生(内集団びいき)を説明せよ。
第5回 朝貢による防衛システム~ステーツ(国家)という現象~ 朝貢と防衛の相互依存の発生を説明せよ。
第6回 朝貢による防衛システム~国家の歴史のシステム科学的解釈~ ヨーロッパの国家システムの形成メカニズムを解釈せよ。
第7回 共助社会の兆し~地域通貨とクラウドファンディング 地域通貨とクラウドファンディングのメカニズムを説明せよ。
第8回 リアリティの捉え方-計算社会科学(データサイエンス)の登場 データサイエンスに基づく社会科学を構想せよ。

教科書

なし

参考書、講義資料等

講義資料はOCW-iか授業中の配布により与える。

成績評価の基準及び方法

授業中のディスカッションへの参加が望まれる。また、2種類のレポートを課す。1つは、本授業で示した共同体、ネーション、ステーツのモデルに対して、(1) 背景、(2) モデルの構造、(3) 結果の3項目を、批判的にレポートしてもらう。他の1つは、社会システム科学の観点から、共助社会が現れうるのか、安定した秩序となりうるか、レポートしてもらう。成績評価は、授業中のディスカッションと2つのレポートをそれぞれ評価し、30%、35%、35%の重みで統合して、総合評価する。

関連する科目

  • LAH.S437 : 文系エッセンス42:合意形成学

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

社会や歴史に対する興味があることが望ましい。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

連絡教員 猪原健弘(いのはらたけひろ)、inostaff[at]shs.ens.titech.ac.jp

その他

当講義は理学の内容を含む。

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