デジタル・ヒューマニティーズは、人文学に対する方法論的な問題意識に端を発し、近年発達してきた情報学のデジタル技術と人文知の融合を図る新しい学問領域である。講義の前半では文化資産をアーカイブする方法を概観し、後半は大規模データと計算機資源を活用した実証的・定量的な研究の事例を紹介する。文学、音楽、批評、地域などを対象にした、デジタル・ヒューマニティーズの活用による新たな人文学の地平を学習する。
様々なデジタル技術を用いた人文学の分析法を学ぶ。人文学についての理解を深めるとともに科学的な方法論の可能性、将来的な学問の姿についても考えていく。
デジタル・ヒューマニティーズ、人文情報学、オープンデータ、デジタルアーカイブ、知的財産権、著作権、テキストマイニング、計量文体学、著者推定、作風変化、創作過程、地理情報システム、計量音楽学
専門力 | 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | ✔ 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
デジタルヒューマニティーズは新しい学問であるため、伝統的な方法論が明確に定まっているわけではない。そのため講義では実際の分析例を中心に、どのようなデータと目的に対してどのような方法論・アプローチが有効であるかを検討していく。各授業日の最後に課す小レポートあるいは課題を考慮して評価する。
本講義は、次の通り、集中講義の形式で行う。
8月7日(川島・工藤):第1回《3-4限》、第2回《5-6限》、第3回《7-8限》
8月8日(工藤):第4回《3-4限》、第5回《5-6限》、第6回《7-8限》
8月9日(河瀬・工藤):第7回《3-4限》、第8回《5-6限》
集中講義のため、3日間、すべての時間帯に出席することが履修の条件となる。
講義室は大岡山キャンパス西9号館7階716号室。
(716号室は、西9号館2階の円形自動ドア側から入った場合、奥の建物にある。靴を脱いで入る講義室。)
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | DHの概観 | DHの学問領域としての広がりを学ぶ |
第2回 | デジタルアーカイブ・オープンデータ | DHにとっての基礎研究データを保存、活用するための取り組みについて学ぶ |
第3回 | テキスト計量分析の方法論 | テキストを統計的に分析するための基礎的な方法論について理解する |
第4回 | 著者推定・作風変化・人物描写 | 伝統的な計量文体論のテーマであるテキストの著者推定のほか、文学における作風変化と人物描写を理解する |
第5回 | 推敲過程・執筆スタイル | 小説家のコンピュータ執筆のログデータを扱った実証的なアプローチについて学ぶ |
第6回 | 知的財産権 | 人間の知的創造活動によって生まれた情報を、財産として保護するための権利である知的財産権について学ぶ |
第7回 | 地理情報システム・空間コーパス | テキストデータにGIS(地理情報システム)を融合させた事例について学ぶ |
第8回 | 計量音楽論 | 最先端の研究哲学・研究理念を踏まえ、音楽を計量的に分析することの意義と方法論について理解する |
なし
徃住 彰文, 村井 源, 『量から質に迫る: 人間の複雑な感性をいかに「計る」か』, 新曜社, ISBN-10: 478851396X
各授業日の最後に課す小レポートあるいは課題を考慮して評価する(100%)。
なし
連絡教員 猪原健弘(いのはらたけひろ)、inostaff[at]shs.ens.titech.ac.jp