科学技術と社会・環境との関係を歴史的・多面的に考察し、現代の高度科学技術社会における科学者・技術者として重視すべき価値を共有する必要性を理解する。科学者・技術者が直面する可能性のある倫理問題を疑似体験し、倫理的意思決定の手法を学ぶ。科目全体を通して、「やってはならない」ことを強調する予防倫理だけでなく、科学者・技術者として「何ができるのか」を考える志向倫理を重視する。また、倫理的科学者・技術者が、社会の福利に貢献するだけではなく、自らの「よく生きること(well-being)」を高めることができることを理解する。加えて、組織において科学者・技術者がいかに行動すべきかを具体的な事例をとおして検討する。 責任ある研究・開発活動も、本科目の重要な要素である。
本科目を履修することで、受講者は以下の目標を達成する。
1) 科学技術が社会・環境に正負両面で大きな影響を与えることを理解する。
2) 予防倫理と志向倫理について理解する。
3) 倫理的意思決定の方法を修得する。
4) 自分自身の強み(character strengths)について理解する。
5) よく生きること(well-being)を構成する要素について理解するとともに、他者への貢献が自らのwell-beingに関係することを認識する。
6) 科学者・技術者として重視すべき価値について理解し、これらを共有しようとする態度を持つ。
7) 組織の社会的責任について理解するとともに、そのなかでどのように行動すべきか設計する。
8) 責任ある研究活動とは何かについて理解し、研究者として重視すべき価値を共有する。
科学技術と社会、科学者、技術者、倫理、倫理的意思決定の方法(セブンンステップガイド)、予防倫理と志向倫理、よく生きること、ポジティブ心理学、組織の社会的責任、責任ある研究行動
専門力 | ✔ 教養力 | ✔ コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | ✔ 展開力(実践力又は解決力) |
本科目では、講義による知識の習得・理解だけではなく、調査報告書の提出、それに基づくプレゼンテーション、グループディスカッション等を通したアクティブ・ラーニングを行う。従って、講義への出席、諸活動への参加が不可欠である。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 1) 科目概要と学習・教育目標 2) 科学研究とエンジニアリング 3) なぜ倫理なのか | 講義時、初回授業アンケートに回答する。 講義後、チャレンジャー号事例の予習 |
第2回 | 1) 講義:技術者が意思決定を迫られる状況とは 2) グループ討議1:スペースシャトル・チャレンジャー号事故 | 講義後、チャレンジャーケースに関するレスポンスシートに回答 |
第3回 | 1) レスポンスシートの提出 2) 講義:チャレンジャー号とシティーコープ・タワーの事例 | 講義後、SDGsとCOPについて自習 |
第4回 | 講義:科学技術と社会・環境 | 講義後、研究公正事例について自習 |
第5回 | グループ討議1:研究公正事例 | 講義後、1) 研究公正事例についてのレポート作成 2) 誠実な科学者の心得についての予習 |
第6回 | 1) 作成したレポートの提出 2) 講義:誠実な科学者の心得 | 誠実な科学者の心得についての復習 |
第7回 | 1) 講義:コンプライアンスと倫理(知的財産権を例に) 2) 講義:研究室マネジメント | 講義後、研究室マネジメントに関する最終レポートに関する質問と原稿の作成 |
第8回 | 最終レポートに関する討議 最終レポートの提出 | 講義時、アンケートに回答する |
日本学術振興会、『科学の健全な発展のために-誠実な科学者の心得』
https://www.jsps.go.jp/j-kousei/data/rinri.pdf
(A) 電気学会倫理委員会、『事例で学ぶ技術者倫理-技術者倫理事例集(第2集)』(電気学会、2017年(2刷))
(B) 札野順編著、『新しい時代の技術者倫理』(放送大学教育振興会、2015年)
1) 授業参加(出席、グループ・ディスカッション、報告) 30%
2) 小課題(事例分析など)30%
3) 最終レポート 30%
4) その他 10%
特に履修の条件は定めない。
yuji.okita[at]neptune.kanazawa-it.ac.jp
電子メール、講義時間の前後