" 性別とは、最も「自然」「常識」と思われがちなテーマのひとつである。本講義では、性別に関する私たちの「当たり前」が、いかに当たり前ではなく「不思議なこと」なのかについて、身近なトピックを用いながら考えてゆく。講義ではジェンダーにまつわる基本的な概念や理論を習得し、現代日本社会の性別に関する諸問題を学んでゆく。その際には量的データ・質的データの双方を用いつつ、歴史社会学や比較社会学の視点も取り入れてゆく。最終的には性別に関するさまざまな社会問題を論じつつ、そうした諸問題に対応するための知識や思考、物の見方を養っていく。
受講者には本講義を通じて、(1)性別そのものがいかに社会的に規定されているか、(2)性別に関する身の回りのさまざまな問題がいかに社会的な問題とつながっているのかを理解してもらいたい。同時にこれらのプロセスを通じて、(3)「社会」に対する感受性を深めてもらうことも期待する。"
"(1)「社会的に既定される性別」という、「ジェンダー」の考え方を理解できる。
(2)性別に関わる身の回りの個人的な問題を、社会的な問題とつなげて考えることができる。
(3)現代社会において、性別に関して具体的にどのような問題があるのか、根拠となる具体的なデータや事例を挙げながら説明することができる。
(4)以上の知識をもとに、性別に関わる現代のさまざまな社会問題にどう対応すべきか、根拠を提示しながら説得的に論ずることができる。"
ジェンダー、セックス、性、社会
✔ 専門力 | ✔ 教養力 | コミュニケーション力 | 展開力(探究力又は設定力) | 展開力(実践力又は解決力) |
基本的に講義形式で行う。
この科目は、人数超過の場合には抽選を実施します。初回の授業に必ず出席するようにしてください。
授業計画 | 課題 | |
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第1回 | 授業ガイダンス、ジェンダー論についての簡単な説明 | ジェンダー論を学ぶ意義を理解する |
第2回 | ジェンダーとは何か、ジェンダーの社会的構築 | 「ジェンダー」「セックス」という基本用語の意味を理解する |
第3回 | ジェンダーと社会、セックスと社会 | ジェンダーとセックスのそれぞれに社会がどう関わっているか理解する |
第4回 | 性別問題とジェンダー | ジェンダーはすべての性別にまたがる問題であるということを理解する |
第5回 | 男性稼得モデルと主婦の歴史 | 主婦と男性稼得モデルの歴史を学び、ジェンダーの構築性について理解する |
第6回 | 母性の比較社会学 | 社会による母性規範の違いを学び、近代日本で母性が規範化した歴史的経緯を理解する |
第7回 | 日本の現状:雇用・労働におけるジェンダー | 雇用・労働領域におけるジェンダーについて、日本の現状を量的データから理解する |
第8回 | 日本の現状:家庭におけるジェンダー | 家庭におけるジェンダーについて、日本の現状を量的データから理解する |
第9回 | ジェンダー問題としての結婚・子育て問題 | 現代日本における結婚や育児に関する問題をジェンダー問題としても理解する |
第10回 | システム問題としてのジェンダー問題 | 現代日本のジェンダー問題を、制度や経済状況といった社会構造との連関から理解する |
第11回 | 現代日本における性別役割分業の逆機能 | 現代日本における性別役割分業の逆機能について、背景と具体的事例を理解する |
第12回 | これからの社会的課題と対策 | ジェンダー問題に対するさまざまな社会的対策と課題を理解する |
第13回 | ライフスタイルの多様化とジェンダー | ジェンダーに関連した近年のライフスタイルの多様化とその限界について理解する |
第14回 | 個人化とジェンダー | 個人化の概念を理解し、選択の自由とジェンダー問題について考えられるようになる |
第15回 | 社会の変化とジェンダー問題のこれから | 社会の変化をふまえ、ジェンダーをめぐる諸問題のゆくえを考えられるようになる |
教科書は特に指定しない。講義で用いる資料はその都度、OCW-iを用いて配布する。
参考書については特に指定しないが、内容的に関連する文献を、講義中に適宜、紹介する。
定期試験で評価する。講義で学んだ基礎的な知識を習得しているかどうか(60%)、与えられたテーマについて根拠を示しながら説得的に論ずることができるかどうか(40%)の2つの観点から評価する。
特になし。
この科目は、人数超過の場合には抽選を実施します。初回の授業に必ず出席するようにしてください。