2018年度 文系エッセンス39:意思決定論   Essence of Humanities and Social Sciences39: Decision Making

文字サイズ 

アップデートお知らせメールへ登録 お気に入り講義リストに追加
開講元
文系教養科目
担当教員名
猪原 健弘 
授業形態
講義
曜日・時限(講義室)
水1-2(G511)  
クラス
-
科目コード
LAH.S508
単位数
1
開講年度
2018年度
開講クォーター
4Q
シラバス更新日
2018年9月27日
講義資料更新日
2018年1月28日
使用言語
英語
アクセスランキング

講義の概要とねらい

本講義の主題は「社会ネットワークと意思決定」である。社会ネットワーク上の社会的あるいは競争的な意思決定を対象とし、その基本概念と分析方法を講義と演習を通じて取り扱う。「社会ネットワークの安定性」、「社会ネットワークにおける提携形成」、「社会ネットワークと社会的意思決定」、「会議の停滞」、「選択集団と選挙集団の交渉整合性」、「社会ネットワークと競争的意思決定」、「態度分析」を取り上げ、対象を数理的に記述し分析する能力を涵養する。

社会ネットワーク上の社会的あるいは競争的な意思決定を対象として、それを数理モデルで表現する能力、数理モデルを分析し結果を導出する能力、数理モデルの分析の結果を簡潔に他者に伝える能力を涵養することが本講義のねらいである。

到達目標

本講義を履修することによって次の能力を修得する。社会ネットワーク上の社会的あるいは競争的な意思決定を対象として、
1)数理モデルで記述された対象の例を用いて、そこで使われている数理モデルの定義を述べることができる。
2)数理モデルで記述された対象の例を分析して、その結果を他者に伝えることができる。
3)扱いたい対象を適切な数理モデルを用いて記述することができる。
4)数理モデルで表現された対象を分析し、その結果を他者に伝えることができる。

キーワード

社会ネットワークの安定性; 社会ネットワークにおける提携形成; 社会ネットワークと社会的意思決定; 会議の停滞;選択集団と選挙集団の交渉整合性; 社会ネットワークと競争的意思決定; 態度分析

学生が身につける力

国際的教養力 コミュニケーション力 専門力 課題設定力 実践力または解決力
-

授業の進め方

1つの話題につき1回の授業を使う。

取り上げた話題についての講義と演習を行う。演習問題は、受講生が、はじめは1人で、次に他の受講生とペアで、さらに4人のグループで、最後に受講生全体で検討する。授業の最後に、個人の考察や他の受講生の考え、講義、演習を通じて学んだことを、受講生それぞれが「サマリー・レポート」に書いて提出する。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 ガイダンス; 自己紹介 本講義で扱う話題を3つ以上述べよ。新しい仲間を3人以上見つけよ。
第2回 社会ネットワークの定義; ハイダーの安定性; 分離可能性 3人の意思決定主体からなる社会ネットワークのうち、ハイダーの意味で安定しているものの例とハイダーの意味で安定していないものの例をそれぞれ一つずつ挙げよ。
第3回 集群化可能性; ニューカムの安定性; 肯定的/否定的自己態度 3人の意思決定主体からなり、否定的自己態度を持つ主体が存在する社会ネットワークのうち、ニューカムの意味で安定しているものの例とニューカムの意味で安定していないものの例をそれぞれ一つずつ挙げよ。
第4回 社会的意思決定の定義; 社会ネットワークと社会的意思決定; 会議; 会議の停滞 3人の意思決定主体からなる会議で、停滞しているものの例と停滞していないものの例をそれぞれ一つずつ挙げよ。
第5回 選択集団; 選挙集団; 交渉整合性; 二分可能性; 擬集群化可能性; 認定投票 3人の意思決定主体からなる社会ネットワークのうち、交渉整合性を持つものの例と交渉整合性を持たないものの例をそれぞれ一つずつ挙げよ。
第6回 競争的意思決定の定義; 標準形ゲーム; 合理性分析;支配戦略; 支配戦略均衡; ナッシュ均衡; パレート最適な結果 囚人のジレンマゲーム、チキンゲーム、男女の争いゲーム、「賢者の贈り物」ゲームについて、支配戦略、支配戦略均衡、ナッシュ均衡、パレート最適な結果があればすべて求めよ。
第7回 社会ネットワークと競争的意思決定; 社会システム; 態度分析; 献身的応答; 攻撃的応答; 関係的応答; 全関係的応答; 関係的支配戦略; 関係的支配戦略均衡; 関係的ナッシュ均衡 囚人のジレンマゲーム、チキンゲーム、男女の争いゲーム、「賢者の贈り物」ゲームを利害関係に持つ社会システムをそれぞれ取り上げ、関係的支配戦略; 関係的支配戦略均衡; 関係的ナッシュ均衡の例を与えよ。
第8回 まとめと発展的話題; 「賢者の贈り物」の分析; 会議の交渉整合性;社会ネットワークの安定性へのエージェントベースアプローチ (1) 3人の意思決定主体からなる社会ネットワークを2つ取り上げ、ハイダーの意味の安定性とニューカムの意味の安定性を用いて安定性分析を行い、その分析結果を用いて2つの社会ネットワークを比較せよ。 (2) (1)と同じ2つの社会ネットワークを持つ会議、選挙集団、選択集団をそれぞれ取り上げ、会議の停滞、交渉整合性、認定投票による決定の結果についての分析を行い、その分析結果を用いて2つの社会ネットワークを比較せよ。 (3) (1)と同じ2つの社会ネットワークを持つ社会システムを取り上げ、合理性分析(支配戦略、支配戦略均衡、ナッシュ均衡、パレート最適な結果)と態度分析(関係的支配戦略; 関係的支配戦略均衡; 関係的ナッシュ均衡)を行い、その分析結果を用いて2つの社会ネットワークを比較せよ。

教科書

D. Cartwright, F. Harary, Structural balance: a generalization of Heider's theory, Psychol. Rev. 63 (1956) 277-293.
J.A. Davis, Clustering and structural balance in graphs, Hum. Relations 20 (1967) 181-187.
F. Heider, Attitudes and cognitive organization, J. Psychol. 21 (1946) 107-112.
T. Inohara, S. Takahashi and B. Nakano, On conditions for a meeting not to reach a deadlock, Applied Mathematics and Computation, Vol.90, No.1, pp.1-9, March, 1998.
猪原健弘、「感情と認識-競争と社会の非合理戦略II」、勁草書房、2002年(1.2節、2.1節、2.2節、4章、5章、6.1節、6.3節)(ISBN-10: 4326502231、ISBN-13: 978-4326502233)。
T. Inohara, Characterization of clusterability of signed graph in terms of Newcomb's balance of sentiments, Applied Mathematics and Computation, Vol.133, No.1, pp.93-104, November, 2002.
T. Inohara, Clusterability of groups and information exchange in group decision making with approval voting system, Applied Mathematics and Computation, Vol.136, No.1, pp.1-15, March, 2003.
T. Inohara, Stability of reliance of information sources and clusterability of information sources, The 7th World Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informatics (SCI 2003), Proceedings Volume VII, pp.225-229, Orlando, Florida, USA, July 27-30, 2003.
T. Inohara, Quasi-clusterability of signed graphs with negative self evaluation, Applied Mathematics and Computation, Vol.158, No.1, pp.201-215, October, 2004.
T. Inohara, Signed graphs with negative self evaluation and clusterability of graphs, Applied Mathematics and Computation, Vol.158, No.2, pp.477-487, November, 2004.
T. Inohara, Relational dominant strategy equilibrium as a generalization of dominant strategy equilibrium in terms of a social psychological aspect of decision making, European Journal of Operational Research, Vol.182, No.2, pp.856-866, October, 2007.
T. Inohara, Relational Nash equilibrium and interrelationships among relational and rational equilibrium concepts, Applied Mathematics and Computation, Vol.199, No.2, pp.704-715, June, 2008.
T. M. Newcomb, Interpersonal balance, in: R.P. Abelson, E. Aronson, W.J. McGuire, T. M. Newcomb, M.J. Rosenberg, P.H. Tannenbaum (Eds.), Theories of Cognitive Consistency: A Sourcebook, Rand-McNally, Chicago, IL, 1968.
K.O. Price, E. Harburg, T.M. Newcomb, Psychological balance in situations of negative interpersonal attitudes, J. Pers. Soc. Psychol. 3 (1966) 265–270.

参考書、講義資料等

猪原健弘、「合理性と柔軟性-競争と社会の非合理戦略I」、勁草書房、2002年(1.1節、2章、3章、4章、5章)(ISBN-10: 4326502223、ISBN-13: 978-4326502226)。
T. Inohara, On conditions for a meeting not to reach a recurrent argument, Applied Mathematics and Computation, Vol.101, No.2-3, pp.281-298, June, 1999.
講義資料はOCW-iか授業中の配布により与える。

成績評価の基準及び方法

成績評価は、毎回の授業で提出する「サマリー・レポート」(合計50%)と期末レポート(50%)に基づいて行う。

関連する科目

  • SHS.M461 : 認知・数理・情報分野方法論S1
  • SHS.L413 : 社会・人間科学多分野分析統合演習F1A

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

社会ネットワークと意思決定への興味があることが望ましい。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

猪原健弘(いのはらたけひろ)、inostaff[at]shs.ens.titech.ac.jp(”[at]”を”[at]”(半角)に変換してください。)

オフィスアワー

メールで事前予約すること。担当教員の居室は西9号館8階813号室。

その他

当講義は理学の内容からなる。

このページのトップへ