2018年度 表象文化論B   Studies of Culture and Representation B

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開講元
文系教養科目
担当教員名
北村 匡平 
授業形態
講義     
メディア利用科目
曜日・時限(講義室)
月1-2(H112)  木1-2(H112)  
クラス
-
科目コード
LAH.H215
単位数
2
開講年度
2018年度
開講クォーター
3Q
シラバス更新日
2018年6月26日
講義資料更新日
-
使用言語
日本語
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media

講義の概要とねらい

 20世紀において娯楽として絶大な影響力をもった映画は、「映画スター」という特殊な表象を生み出した。スクリーンで輝きを放っていた「映画スター」はやがて、戦中期/占領期において、国民を主体的に軍国主義/戦後民主主義に包摂するための文化装置として利用され、人びとの振る舞いや思考を規定する決定的な役割を担った。また映画が斜陽化する一方で、高度経済成長期に家庭へと浸透していったテレビは、(映画スターとは異なる仕方で)アイドル/アーティストを生み出した。そのような日常生活に深く根差したメディアで構築される有名性も、現代の文化産業においては不可欠な存在である。本講義では、メディアに媒介されることによって、名声を獲得してきた女性(スター女優、女性アイドル/アーティスト)に焦点化し、その表象の歴史を概観する。
 本講義のねらいは、各時代の社会・文化において欲望される形象からジェンダー/セクシュアリティの規範について理解を深め、映画、雑誌、テレビ、パソコン、モバイルなどで有名性がいかに構築されるのか、すなわち、20世紀以降のメディア文化を探究することである。

到達目標

本講義を履修することで以下のような能力を習得する。
①スターを歴史的に捉えながら20世紀の映像史が理解できる。
②スター/アイドル/アーティストの表象史からジェンダー規範の変遷を理解することができる。
③私たちが生きるメディア文化の理解を深めることができる。

キーワード

スター女優、アイドル、アーティスト、メディア、ナショナリズム、オリエンタリズム

学生が身につける力(ディグリー・ポリシー)

専門力 教養力 コミュニケーション力 展開力(探究力又は設定力) 展開力(実践力又は解決力)

授業の進め方

実践的なセッションをともなう講義形式の授業。内容に関連する演習問題に取り組む時間も設ける。

授業計画・課題

  授業計画 課題
第1回 授業ガイダンスとイントロダクション 初期映画と女優の誕生について理解する
第2回 戦前のスター女優 田中絹代・入江たか子・山田五十鈴について学ぶ
第3回 戦中のスター女優 李香蘭のイメージを通じてナショナリズムについて考察する
第4回 軍国主義/民主主義の女神 原節子を通じてナショナリズムについて理解する
第5回 占領期のスター女優 京マチ子を通じてオリエンタリズムについて理解する
第6回 スター女優から国民的女優へ 高峰秀子とポスト占領期について学ぶ
第7回 映画隆盛期のスター女優 若尾文子のパフォーマンスを通して大衆文化を捉える
第8回 大衆娯楽の女王 美空ひばりを通して1950年代のメディア文化を理解する
第9回 映画斜陽期のスター女優 吉永小百合を通して衰退期の実践を捉える
第10回 任侠映画の女優 藤純子を通して1960年代のジェンダーについて学ぶ
第11回 アイドルの誕生 山口百恵/松田聖子を通して「アイドル」の特異性を理解する
第12回 角川映画とメディアミックス 薬師丸ひろ子を中心にメディアミックスについて学ぶ
第13回 女性アーティストの活躍 椎名林檎/宇多田ヒカルの受容から1990年代の文化を考える
第14回 氾濫するアイドル モーニング娘。/AKB48グループ/ももいろクローバーZの身体イメージを考察する
第15回 有名性から見る現在のメディア文化論 授業の総括

教科書

指定しない。

参考書、講義資料等

藤木秀朗『増殖するペルソナ——映画スターダムの成立と日本近代』(名古屋大学出版会、2007年)
北村匡平『スター女優の文化社会学――戦後日本が欲望した聖女と魔女』(作品社、2017年)
西兼志『アイドル/メディア論講義』(東京大学出版会、2017年)

成績評価の基準及び方法

授業への参加度(40%)、期末試験(60%)

関連する科目

  • LAH.H113 : 表象文化論A
  • LAH.H314 : 表象文化論C

履修の条件(知識・技能・履修済科目等)

特になし。

連絡先(メール、電話番号)    ※”[at]”を”@”(半角)に変換してください。

kitamura.k.af[at]m.titech.ac.jp

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